股間におしっこのシミ・会議中に我慢できない…意外と多い「男の尿漏れ」誰にもバレずに改善するには?
「尿漏れはお年寄りがなるもの」と思っていたのに、自分が漏らしてしまったことに対してショックを受ける人も少なからずいる。しかも、デリケートな問題だけに、家族である妻や、周りの人にも言いづらい。 また、40~50代に多い前立腺の慢性炎症も尿漏れのきっかけになる。 「前立腺の周辺や膀胱の粘膜が慢性的に腫れることで、尿が出にくくなり、尿漏れにつながる場合があります。前立腺の炎症は、アルコールの飲み過ぎや、デスクワークや運転などで座りっぱなしの時間が長く、前立腺周辺が圧迫されることで起こりやすくなります」 こうしたおしっこの悩みがあっても、なかなか受診しづらい泌尿器科。尿漏れで悩む中年男性は、何をきっかけに受診する人が多いのだろうか。 「トイレが近くなりはじめたが、これまではギリギリセーフだった。それが間に合わずに、いよいよ漏らしてしまい、パンツやズボンが汚れてしまった。40~50代でそんな経験をされた方が、『これはまずい』と思われて相談に来られます。 ほかにも、電車で1時間の移動すら我慢できず、途中下車してトイレに駆け込むようになった、夜間の頻尿が増えてよく眠れないなど、生活への影響を感じ始めて受診されるケースがあります。高齢者に比べて数は少ないですが、40~50代でも尿漏れパットを使ってしのいでいる男性もいますよ」 ◆座りっぱなしは尿漏れ予備軍! 「下半身トレーニング」が効く どのタイプの尿漏れも、予防するには膀胱や直腸を下から支える「骨盤底筋」を鍛えることが有効だ。 「ハンモックのような形で、下から臓器を支えているのが骨盤底筋です。鍛えるには、スクワットなど、太ももやお尻周辺を刺激するような下半身の筋トレを習慣にしましょう。 座りっぱなしの時間を短くして、ウォーキングなどで前立腺や膀胱周辺の血流を良くすることも効果的です。運動習慣があると、こうした尿の悩みは徐々に減ってきます」 セルフケアで症状が改善する場合もあるが、「漏れないか常に心配になる」「会議や移動中に漏れそうになる」「トイレに行けない状況が怖い」など、生活に支障が出る段階になったら、医師に相談すべきタイミングだ。 「泌尿器科では、問診や検尿のほか、前立腺や膀胱の周辺を超音波(エコー)で検査します。原因に応じて、症状を改善する薬が処方されます。 過活動膀胱による尿漏れで悩んで受診された40代の男性は、膀胱の働きを改善する薬を処方したところ、自分で尿意を我慢できるようになり、症状が改善。今では薬なしで日常生活が送れるようになりました。 尿漏れはひどくなってからだと良くなるまで時間がかかりますが、早めに泌尿器科で治療すれば、薬や生活指導で改善し、元通りの快適な生活に戻れます」 尿漏れの経験があると、遠出や移動が急に不安になり、何事も前向きに楽しめなくなってしまう。 尿漏れ以外にも、トイレが近い、残尿感がある、においがおかしいなど、「おしっこがいつもと違う」と感じたら、トラブルが隠れている可能性もある。自分の“おしっこ”に目を向けてみることは、中年世代にとって体調管理の一つになるはずだ。 ▼大嶺卓司(おおね・たくじ) 腎・泌尿器科おおねクリニック院長。医学博士。日本泌尿器科専門医・指導医、日本抗加齢医学会専門医。前立腺肥大症や前立腺がん、男性更年期障害、EDなどの男性の泌尿器疾患、尿失禁や骨盤臓器脱などの女性の泌尿器疾患、そのほか生活習慣病や皮膚科領域まで診療にあたる。地域住民に寄り添い、健康づくりをサポートしている。 取材・文:釼持陽子 編集・ライター。1983年、山形県生まれ。10年間、健康情報誌の編集部で月刊誌・Webメディアの編集に携わったのちフリーランスに。現在はヘルスケア・医療分野などを中心に、医師や専門家の取材、企画、執筆を行う。
FRIDAYデジタル