約30台のバイクに乗った桐島が“人生最後のバイク”にヤマハ「テネレ 700」を選んだ理由
「車に例えるならポルシェのSUV『カイエン』のようなイメージでしょうか。とにかく舗装路をストレスなく、安定して走ってくれます。排気量に余裕があるから高速道路で疲れないのもいい。オフロード兼用車とは思えないくらいで、街中から峠まで、心地良く巡航するにはもってこい」。
ちなみにテネレとは、パリ・ダカールラリーがまだアフリカ大陸で開かれていた時代、多くのライダーの挑戦を呑み込んだサハラ砂漠の難所地帯にちなんだモデル名だ。もちろんラリーでもプロライダーたちが跨って多くの勝利を挙げてきた。 そのため、足周りに関してはオフロードに対しても惜しみのないセッティングになっている。その気になればダートもしっかり走れる。 「僕も多少ぶつけても別にいい、くらいの心持ちでがっつり走っています」。
カスタムポイントはサスペンションだ。「フロント、リアともにショックの効きが段違いなオーリンズ製のサスに載せ替えていて、リアルにオフロードへと駆り出しても余裕でこなせるスペックに仕上げています」。
買い物やゴルフに出かける際には愛車のテスラで向かう。テネレに乗るのは、「バイクに乗るぞ」という冒険心がうずいたときだ。 「アップライトのスタイルで、軽やかに流すのが今の自分にはたまらなく気持ちがいい。とはいえ、どっしりと“座るバイク”に乗るほど隠居じみたくはなくって、まだまだ跨っていたい。そんな気分に寄り添ってくれるんです」。
「コイツをこの先一生乗る、上がりバイクにしてもいいかな、と思っています」。 数々のバイクと向き合ってきた、ローランドさんならではの現状の結論は、等身大の示唆に富んでいる。 河野優太=写真 礒村真介(100miler)=取材・文
OCEANS編集部