「刑法犯少年」増える熊本県、万引きなど「初発型」が半数…年齢近いサポーターが寄り添い阻止
刑法犯で摘発される少年が熊本県内で増えている。県警が20歳未満とする昨年の「刑法犯少年」は342人に上り、3年連続で前年を上回った。万引きや自転車盗といった「初発型非行」が半数を占めており、県警は世代が近い若者らによる支援を通じ、非行の入り口を未然に塞ぐ地道な取り組みを続けている。 【グラフ】熊本県内の刑法犯少年の年別推移
「何してるの?」。6日午後、県警本部の一室。2人の面談の場に少しだけお邪魔すると、小学生の男児は「お絵かき」と照れくさそうに答えた。人気ゲーム「ポケットモンスター」のキャラクターを描く様子を、少年サポーターを務める崇城大大学院1年の原田利樹さん(23)が優しく見守っていた。
サポーター制度は1999年に始まり、これまでに延べ300人以上が不良行為を繰り返したり、犯罪被害に遭ったりした子どもたちを支援してきた。活動内容は啓発チラシの配布や農業体験など多岐にわたり、現在は平均年齢23歳の男女12人が県警の委嘱を受けている。
原田さんもその1人で、少年が摘発される事件が増えていると知り、「何かできることをしたい」と3年前に参加した。理科の中学・高校教員免許を持っており、月に1回程度、活動している。
原田さんは活動の中で、学校を休みがちだった少年と関わったことがある。自宅が他の少年たちのたまり場となり、生活習慣が乱れてしまっていた。それでも、自分の趣味や将来に向けて勉強に励む少年をサポーターとして懸命に支えた。少年は徐々に、明るい表情を取り戻していったという。原田さんは「自分から話してくれるまで、気長に待つこと。子どもたちと向き合う姿勢を学んだ」と振り返る。
県警少年保護対策室の平田美和室長は、「年齢が近いサポーターが話すことで、子どもたちも心を開きやすくなる」と話す。
21年から増加に転じる
県内の刑法犯少年は2014年は824人で、20年までは減少傾向だった。242人だった21年から増加に転じ、22年は260人、昨年は342人となった。「新型コロナウイルス禍によるストレスの反動が原因の一つではないか」との意見もある。