〈北陸新幹線 延伸〉小浜ルートの再考請願 京都府議会、強まる見直し論
北陸新幹線敦賀以西の延伸を巡り、現行の「小浜ルート」の再考を国に求めるよう京都府の西脇隆俊知事に要請する請願書が、開会中の府議会定例会に提出されたことが9日、関係者への取材で分かった。地下水への影響や残土処理などの問題が山積する中、見直し論の高まりがあらためて表面化した格好。京都選出の参院議員で、与党整備委員会の西田昌司委員長が小浜を強く推す一方、地元で反対の声が収まる気配はなく、最も整備区間の長い京都のルート議論は混迷を深めている。 請願では小浜ルートの工期や事業費が当初の想定から増大し、着工の前提条件が変わったと指摘。地下水や残土処理などに対する懸念の声に触れ、府北部を含む府内全域に整備効果が波及するルートにするよう求めている。府議会常任委員会で審議され、19日の本会議で議決される。採択されても法的拘束力はない。 請願を提出した前自民府議の二之湯真士氏は9日、北國新聞社の取材に対し、自民府議団が11月11日、知事にルート再考の要請を行った後、「再考」の文言を削除した要望書を再提出した経緯に触れ、「府議団は何をしたいのか分からない。はっきりさせるために請願を出した」と説明した。 請願が採択されるかどうかは見通せないものの、こうした動きは西脇知事や松井孝治京都市長の意見にも影響を及ぼす可能性がある。西脇知事や松井市長は13日に与党整備委の意見聴取を控えており、府議の一人は「この状況で小浜ルートを容認する発言はできないだろう」と話した。 与党整備委は年内に3案ある小浜の詳細ルートから1案を選び、来年度末までの着工を目指している。 ●ルート議論「早期決着を」 石川県議、自民府議団に要望 自民党の石川県議有志は9日、京都府議会に自民府議団幹部を訪ね、北陸新幹線敦賀以西に関して「早期にルート議論を決着させてほしい」と求めた。府議団側は府内への延伸自体には反対していないと説明した上で、「現行の小浜ルートでは京都市の地下水への悪影響が懸念される」との認識を示したという。 京都を訪問したのは福村章、善田善彦(県議会議長)、安居知世、髙辻伸行の4氏で、府議団の荒巻隆三代表幹事ら4人と非公開で約1時間にわたり意見交換した。 出席者によると、福村氏は早期延伸に向けて「小浜」から「米原」への転換を求める決議を県議会で可決したと説明。京都の現状を聞き取ったという。終了後、取材に応じた荒巻氏は「石川の強い思いは理解した。懸念を払しょくできる最適解を見つけたい」と述べた。 ある府議によると、府内では与党整備委が年末までの絞り込みを目指している小浜ルートの3案を巡って「現在の京都駅のそばを通る工事はありえない」などの意見が出ており、小浜以外にも米原、かつて議論された舞鶴を主張する声もあるという。 福村氏は「地域によって意見がまちまち。一つにまとめるのは難しいのではないか」との見方を示した。