トランプ氏の復帰前に団結する欧州…ゼレンスキー大統領「領土奪還の力ない」
来月のトランプ次期米大統領の就任を控え、欧州がウクライナ戦争の対応策を具体化するために動いている。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアに奪われた領土を取り戻す力がないとしながらも欧州の団結を促した。 ゼレンスキー大統領は18日(現地時間)、ベルギーのブリュッセルにあるマルク・ルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長官邸で欧州連合(EU)首脳らと会った。会合の前、ゼレンスキー大統領は「欧州は強く団結した立場が必要」と強調した。 前日に公開されたインタビューでは「我々はこの地域(ドンバス・クリミア半島)を取り戻す力がない。国際社会の外交的圧力に頼るしかない」と述べた。続いて「どの指導者もウクライナを排除してロシアと交渉する権利はない」と話した。 これはトランプ氏を意識した発言と解釈される。最近、米メディアはトランプ氏がドンバスなどをウクライナが放棄する形の終戦を進める可能性があると報じた。 この日のブリュッセル会合は、トランプ氏が16日に「ウクライナ戦争を終わらせる」と公言し、トランプ氏が任命したキース・ケロッグ特使が来月初めにウクライナと欧州を訪問する予定という事実が伝えられた後に開かれた。トランプ氏はロシア・ウクライナの休戦が実現すれば、米国でなく欧州が平和維持軍を派遣するべきという立場だ。 ルッテ事務総長は会合の前、「優先順位はウクライナの対空防御を改善し、より多くの武器を供与すること」とし「欧州平和維持軍の議論は時期尚早」と一線を画した。 しかしニューヨークタイムズは「トランプ氏が率いる米国の政策の不確実性を勘案すると、ルッテ事務総長は今回の会議でNATOの対応を調整するはず」とし「欧州は『ウクライナに良くない形で交渉をすれば米国の大統領が中国に弱く映るはず』と話しながらトランプ氏を説得することを望んでいる」と伝えた。 トランプ氏は7日、ゼレンスキー大統領とマクロン仏大統領と会い、「ロシアが終戦を決断するには中国の圧力が必要だが、欧州が中国を動かすために動く必要がある」と述べたと伝えられた。 欧州が中国に対する態度で悩んでいる点は、19日に開かれるEU首脳会議で発表される共同声明草案にも表れている。ブルームバーグ通信が入手した草案では、ロシアに武器を供与して派兵したイランと北朝鮮を非難したが、ロシアの攻撃用ドローン開発を支援した中国は批判しなかった。 ブルームバーグ通信は情報筋を引用し、「ウクライナがEUに中国をイラン・北朝鮮と同じレベルに並べないでほしいと要請した」と報じた。ただ、ウクライナはこれを否認した。ブルームバーグ通信は「声明はその後に変更される可能性があるが、草案はロシアを支援した中国企業を制裁したEUの最近の措置とは対照的だ」と指摘した。 これに先立ちEU27カ国はこの日、EU加入を希望してきたアルバニアやセルビアなど西部バルカン6カ国とも首脳会議を開き、関係強化の意志を明らかにした。ロシアと中国の影響力拡大を遮断する動きと解釈される。 ロシアはこの日、警告・融和メッセージを同時に出した。ロシアのリャブコフ外務次官は「核兵器を保有するロシア、中国、北朝鮮に圧力を加える米国のゲームは災難的な結果につながりかねない」としながらも「ロシアは米国との関係正常化のための提案を考慮する準備ができている」と述べた。 ただ、ロシア軍のゲラシモフ総参謀長はこの日、「米国がさらに破壊的な武器を作るために弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約、中距離核戦争力(INF)条約を脱退した」と主張した。続いて「米国、日本、韓国が主要な役割を担うアジアNATOが形成されている」とし「ロシア、中国、北朝鮮は同盟の主な敵と宣言された」と指摘した。