【独占】大火災に見舞われた温泉旅館「地域を絶対的に守り抜く」逆境からの復活
今回のテーマは、「逆境からの復活!」。 去年の元日、伊豆有数の温泉旅館「天城荘」は、予期せぬ大火災に見舞われた。ガイアのカメラは、火災から1年以上にわたり、再建までの軌跡に独占密着。旅館だけではなく、地域の再生も目指し、奮闘する人々の姿を追った。 一方、観光船の沈没事故で観光客が激減した北海道・知床。ふるさとの再生を願い、都会からUターンした若者がいた。彼の挑戦は、地域を再び輝かせる灯火となるか? 逆境からの復活にかける人々に密着した。 【動画】静岡・河津町、北海道・斜里町の魅力
元日の大火災 伊豆有数の温泉旅館「必ず再生してみせる」
早咲きの河津桜で知られる人気の観光地、静岡・河津町。町のもう一つの自慢が天城山の麓に点在する7つの滝で、中でも大滝は、落差30メートルと最大だ。滝壺のそばにはワイルドな露天風呂があり、映画「テルマエ・ロマエ」のロケ地にもなった。
露天風呂を含め、東京ドーム2個分の広大な敷地を持つのが、伊豆有数の温泉旅館「天城荘」。だが去年の元日、「天城荘」は原因不明の大火災に見舞われた。 宿泊客や従業員は全員避難し、けが人は出なかったものの、火は約2000平方メートルを焼き尽くし、約10時間後にようやく消し止められた。
その年の2月、コロナが収束し、3年ぶりに行動制限のない「河津桜まつり」が開催された。祭りの期間中に約51万人が訪れ、町は大きなにぎわいを見せたが、火災から1カ月…「天城荘」の時間は止まったまま。
そんな中、「ここでしか見られない温泉の景色がある」「応援している」というファンの声に応え、「桜まつり」に合わせて、大滝を見ながら入れる日帰りの露天風呂だけは再開していた。
「天城荘」は以前も存続の危機があり、7年前、ガイアはその顛末に密着していた。ネット対応の遅れなどが響き、バブル期には10億円近くあった売り上げが徐々に低迷、経営破綻に陥ったのだ。 その時、民宿など小規模宿泊施設の集客を支援する会社「リバティー」(静岡市)の福原良佐社長(当時、現会長)が旅館を買収。会社のノウハウを結集して「天城荘」の再生に挑んだ結果、わずか数年で黒字に。突然のコロナ禍も乗り越え、これからという矢先の火災だった。 「桜まつり」が終わった去年3月。福原さんにとって2度目となる「天城荘」の再生が始まったが、火災の被害は、休館に伴う営業損失も含めると11億円にも上る。 保険金が約5億円下りることになり、被害の大きさを考えれば、保険金だけを手にして再建はしないという選択肢もあったはずだが、福原さんは「地域があってこその天城荘。経営を引き受けた以上、地域を絶対的に守り抜く」と話す。 実は、一昨年の暮れに前立腺がんの疑いがあることがわかり、今も治療を続けている福原さん。火災がなければ2022年度限りで引退するつもりだったが、「そんなことは言っていられない。命は度外視」と再生に挑む。