「睡眠は本当に必要なのか…?」眠るのが嫌いだった高校生が徹夜で試験に臨んだ結果
徹夜で試験に臨んだ結果……
私は中学校を卒業して、地元の県立高校に進学した。中学校までは、ほとんど勉強せずとも、試験の成績は良かったのだが、高校になるとそうはいかない。学校の勉強をこなすのが嫌いだった私は、普段は勉強せずに、試験週間に入ってから一夜漬けのようにして乗り切ろうと考えていた。 高校2年生のとき、私はほとんど徹夜に近い状態で試験に臨んだことがある。物理の試験だった。試験前日の夜に、なんとか試験範囲を勉強し終えた。だがそのときは、なぜか欲張って念には念を入れようと、試験当日の明け方四時ごろまで参考書の問題を解いたのだ。解いた問題の答え合わせをすると、ほとんど合っている。今回の試験は、完璧だと確信した。 その後、少しだけ仮眠をとり、朝六時過ぎに起きて支度を始めた。いつものように朝食をとろうとするが、あまり食欲がない。頭がぼーっとして、なんだかひどく追い込まれたような気がした。いつもは飲まないホットコーヒーを飲んで、高校に向かった。一時間目が、物理の試験だ。物理は、もともと得意な科目であり、今回の試験ではとくに念入りに勉強したから大丈夫だろう。 問題用紙と解答用紙が配られ、いよいよ試験がはじまった。問題をざっと見てみたところ、どの問題もすぐに解き方が浮かんでくる。ひとまず落ち着いて最初から解いていこう。余裕の試験のはずだった。 あれ、なんだか変だ……。 問題を解き進めていくと、計算が合わなくなった。どうやら大問の最初から間違えていて、そのミスを引きずっていたようだ。最初の問題に戻って見直すが、何度考えても、答えは同じだ。どこが間違っているのか分からない。ふと時計に目をやると、試験時間の半分が過ぎていた。まだ大問の一つ目しか取り掛かれていない。焦りが増して、何度も時計を確認した。 終了の合図があった。どの問題も全然解けていなかった。つい数時間前までは、あれだけ解けていたのに……。空白が目立つ解答用紙を見つめて、落胆した。 試験の成績は散々なものだった。なぜあのような大失態をおかしてしまったのだろう。今となって振り返れば、おそらく睡眠不足のせいだ。集中力が低下し、勉強した記憶も定着していなかった。でもあのときは、「眠気など気合で我慢できるもので、努力不足を睡眠不足のせいにしてはいけない」と思っていたものである。高校生や大学生くらいの時期には、つい自分の体力を過信し、徹夜で勉強したり遊んだりして、無理をしてしまうことが多い。 つづく「人は眠らなかったらどうなるか…「11日間断眠」した“命がけの実験”でわかった「意外なこと」」では、アメリカの高校生がかつて行った危険な実験とそこから見えてきたことについて掘り下げる。
金谷 啓之