東京五輪金メダリスト【阿部一二三・詩兄妹】インタビュー。柔道家として、ふたりがめざす「未来」
柔道中心のストイックな生活を続ける中で、おしゃれをして出かけることが息抜きの一つと話すふたり。だからこそ本誌撮影中も生き生きとした表情を見せてくれたのかもしれない。カメラを向けられたときの凛としたまなざしに、スタッフは終始釘づけだった。 「たまにファッション撮影の機会があり、カメラの前でどう振る舞えばいいのか悩むことは少なくなりました。でも正直、お兄ちゃんと組んだ撮影は恥ずかしかった(笑)。メンズライクな私服が多いので、普段はかないシースルーのロングスカートは、新鮮で気に入りましたね。最近は、ひと癖あるデザインの洋服に惹かれます」(詩) 「ビビッドカラーが意外と似合ったことに、自分でも驚きました。最近はストリート系やビッグシルエットのファッションが好きなのですが、きれいなセットアップなどもたまにはアリですね。多様なジャンルの衣装を着させてもらえて、いいリフレッシュができました! とても楽しかったです」(一二三) 昨年は念願だったイベント、「ABE CUP 2023 -JUDO School & Friendly Match-」を地元、兵庫県で開催した。1日目はふたりも指導に参加した柔道教室、2日目は小学6年生を対象にした柔道大会を実施。競技者として第一線を走りながら、これからの柔道界の未来についても考えている。 「自分たちが子どもの頃は現役のメダリストに会える機会があまりなく、いつか開催したいなと。僕らがやっと次の世代に還元できる立場になり、開催に踏み切りました。ただ、世界選手権前の時間がない中で準備を進めたので、多くの人に助けられましたね」(一二三) 「地方からも多くの小学生が参加してくれてうれしかったですね。競技人口が年々減っていますが、未来への希望を感じました。試合に負けて号泣する子どもたちを見たとき、自分が幼かった頃の思いも蘇って。とても有意義な時間だったので、また機会があればぜひ開催したいです」(詩) SPUR読者の中には、今夏のパリオリンピックで柔道観戦を楽しむ人もいるだろう。そこでふたりから初心者向けに、見ごたえのある技をピックアップしてもらった。 「決まるとうれしい技は、背負投や袖釣込腰です。一本を取るために、担ぎ技はずっと練習してきました。豪快で見ごたえがあり、決まると気持ちがいい!」(一二三) 「撮影で私がお兄ちゃんにかけていた技が、一本背負投です。小内刈は、昨年のグランドスラム東京2023決勝で私が一本を取った足技。一瞬で決まることが多いので、選手の挙動をじっくり見てください」(詩)