「生きた心地がしなかった」...部員92人の超大所帯・帝京大を背負った主将が苦労、敗戦の先に全員で掴んだ全国準優勝<準硬式・全国大会(清瀬杯)>
<清瀬杯第56回全日本大学選抜準硬式野球大会:帝京大0-1立命館大>◇4日◇決勝◇札幌円山球場 清瀬杯第56回全日本大学選抜準硬式野球大会(以下、清瀬杯)は4日、立命館大と帝京大による決勝戦が行われた。初の清瀬杯の優勝を目指した帝京大だったが、立命館大との決勝戦を戦ったが、0対1で敗れ、初の栄冠とはならなかった。
「ちょっと悔しいんですけど、凄く楽しかったです」 敗れた帝京大の主将・橋本 恭平内野手(4年=厚木北出身)は閉会式後、少しスッキリとした表情で決勝戦を振り返った。あと一歩で届かなかった栄冠、三塁側では優勝した立命館大が優勝の味をかみしめている様子が見えた。 「相手の主将が胴上げされている様子を見ると、やっぱり涙が出ちゃいますね」と、少し羨ましそうに見つめていた。 橋本主将が就任した直後の帝京大は、まさに上昇気流に乗っていた。 2022年には大学準硬式最高峰の大会・文部科学大臣杯第74回全日本大学準硬式野球選手権大会(以下、全日大会)でベスト4進出。2023年は関東選手権で優勝を飾り、全日大会にも出場。全国屈指の強豪へ、階段を1つ上がろうとしている状況だった。 そんな中、橋本の世代は関東選手権で3位になるものの、「リーグ戦では予選会に出られるかギリギリだった」と全国大会出場も危ぶまれた状況。 何とか予選会への出場権を掴んだが、関東地区のライバルたちの前に結果を残せず、「引退も考えました」と全国出場を逃す崖っぷちまで追い込まれた。
それでも日本一の目標を諦めず、清瀬杯出場を何とか手にした。「思うようにいかず、苦しかったです」と橋本主将。その影響はあらゆるところに及ぼしていた。 「出せる全力を尽くした結果だと思っていますが、結果を残せない時期が長かったので、授業を聞ける余裕はないですし、夜は眠れないですし、生きた心地はしませんでしたよ。でも、『ポジティブ・アグレッシブ・マインドリセット』ってチームメイトに向けて言いながら、自分にも言い聞かせて。あとは『お前だけで背負うな』って同級生が支えてくれたので、乗り越えられました」 こうしたチームが1つになって戦うことは、橋本主将が目指してきた形だった。 「母校・厚木北でも主将をやっていましたが、恩師からそういった野球を教わってきたんです。神奈川を勝ち上がるにはチーム力が必要だったので、同じように作るようにしました。 帝京大は4学年で92人もいて難しいところはあったんですけど、全員っていうのは妥協せずに、こだわり続けました」