中国、イエレン氏歓待でも政策変えず-過剰生産能力の解消は市場次第
イエレン長官は中国でのEV・バッテリー生産急増は、米国以外の多くの国にとっても懸念事項であり、輸出からの焦点シフトは中国にとっても良いことだと強調した。
中国が米国の批判を悪意によるものだと考える危うさもある。中国政府はすでに米国が冷戦時の対中アプローチを追求、つまり中国の経済発展を遅らせようとしていると非難している。
中国国営メディアの記事は、過剰生産能力を巡る米欧の主張を中国のハイテク企業を抑圧する「隠されたアジェンダ」の一部と呼んだ。
中国訪問中のイエレン長官は公の場ではおおむね、中国は経済政策を軌道修正すべきだと訴えた。
8日の記者会見で中国人記者から中国当局はどうすればいいのかと質問された際、「供給もあれば需要もある。可能なアプローチの一つは需要を高め、GDP(国内総生産)に占める家計の割合を増やすこと」だと同長官は答えた。
米財務省の当局者によると、イエレン長官は経済政策の司令塔である何立峰副首相との会談で、人々が退職した後の保障を強化し、より安価に教育を受けられるようにすることで、中国の国内支出を刺激することができると提言した。
中国政府は長年、経済を消費主導型に転換させようとしてきたが、ほとんどうまくいっていない。昨年は家電製品や家具の購入を含むあらゆる家計支出を促進する計画を発表。この取り組みは現在も続いている。
最後の訪中か
意見の相違はあったが、イエレン長官は中国で歓待された。米高官の中では極端な対中強硬派ではないとして評価されているためだ。今のところ、米中は話し合いを続けることで合意しており、経済チームが今月ワシントンでさらに協議する予定だと中国財政省は発表した。
11月の米大統領選は、民主党のバイデン大統領が共和党のトランプ前大統領と再び競い合うことが確実な情勢だ。2人とも中国に厳しい姿勢を示そうとしている。
ナティクシスのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏(香港在勤)は、イエレン長官へのもてなしはさらなる規制を回避したい中国側の試みでもあると分析。