歴史ある町並みを大正モダンスタイルで楽しむ「金沢レトロ観光」のススメ
戦災を免れた石川県金沢市には、今なお古い建物が数多く残り、歴史を感じられる町並みは観光客からも高く評価されている。この町を大正モダンな衣装で散策し、懐かしい雰囲気の喫茶店や町家を改装した店で買い物を楽しむ“金沢レトロ観光”に出かけてみた。 【画像】金沢レトロ観光
レトロな旅のはじまりは“映える”衣装選びから
まず訪れたのは金沢駅から徒歩約10分の場所にある貸衣装店「金沢・月見にキテネ」。店の内装は木製の陳列棚や布張りソファなどクラシックな雰囲気で統一されている。ここでは明治・大正時代をコンセプトにした服や小物などをレンタルすることができる。ブラウスやスカート、ワンピースなど80着以上の在庫から自分の好みで組み合わせて選べるのが魅力だ。「金沢・月見にキテネ」の山口秀美さんは「襟がレースになっているものやスカートの裾がフレアになっているデザインが特徴。中でも当時の女優さんが身に着けていた帽子をイメージした『女優帽』が人気です」と教えてくれた。 数ある衣装の中から尾﨑侑美アナウンサーが選んだのは、カーキ地に白い襟が付いたワンピース。帽子やバッグなどの小物も組み合わせてコーディネートした。 店には撮影ブースも併設されていて、衣装を借りれば無料で写真撮影を楽しむこともできる。(※3階の撮影ブースは別途料金が必要)
町歩きを楽しみ“大正ロマン”がコンセプトの喫茶店へ
レトロな雰囲気の衣装を身にまとい、早速金沢の街に繰り出した。見慣れた町並みも普段とは違う服装で歩くと非日常感を味わうことができる。 金沢市内で人気の観光地、ひがし茶屋街の路地を入って訪れたのは金沢市東山にある「大正浪漫喫茶 金魚庵」。店に入ると女将の土屋美幸さんがかっぽう着姿で迎えてくれた。店内は蓄音機からBGMが流れ、大正時代の生活雑貨や雑誌などが置かれていて、当時にタイムスリップしたような気分を味わうことができる。着物にエプロン姿のウェイトレスが運んできてくれたのは大正時代のレシピを再現したという「ハットケーキ」だ。 生地に砂糖を使っていないため、焦げ色がついておらず、見た目は真っ白。「ホットケーキ」のように見えるが、なぜ「ハットケーキ」というのか。女将の土屋さんいわく「当時は『ホット』がなまって『ハット』と呼ぶのが一般的だった」そうだ。日本では1884年(明治17年)に「パンケーキ」が雑誌で紹介され、1923年(大正12年)に東京の百貨店で「ハットケーキ」として提供されたのが始まりと言われている。早速食べてみると、生地に甘みが無いので、バターとはちみつの風味が際立つ。もっちりと弾力のある生地は食べ応えがあり、小麦の味わいを感じられる。このほかにもプリンやクリームソーダなど大正時代をイメージしたメニューが揃っている。