鹿島建設が入社3~5年目に実施した「アイカンパニー研修」とは?
■ 抱えていた課題 しかしながら、13年にわたる育成計画を実行するうえで1つの課題が生じていた。それが、事務系総合職の育成である。同社の事務系総合職は様々なステークホルダーと関わることから、「周囲をうまく巻き込んで、牽引できる人材」への成長を期待されていた。 しかし、育成計画の中で行われる各種の研修が線でつながっていないことにより、事務系総合職として求められる共通のスタンスが醸成されていなかった。 また、同社の事務系総合職は5年次に居住地が変わる「支店間ローテーション」という人事異動があるが、新しい土地・職場での人間関係や担当業務に対してネガティブ思考に傾いてしまう社員も少なくなかった。特に、異動先の希望が叶わなかった社員には、ネガティブな傾向が強く出ていた。 運営側も、その時々で試行錯誤しながら研修を実施していたが、コロナ禍になると研修の方針や実施方法を変えざるを得なかったり、若手社員の価値観の多様化もあったりして、「軸」が定まらないまま研修を行っていた。それゆえ、研修の成果も実感できていなかった。 ■ 自身のキャリアと成長に向き合う研修を実施 こうした課題を解決するため、同社はリンクアンドモチベーション支援のもと、「環境変化に負けず、自分のキャリアを切り開くこと」をテーマにした「アイカンパニー研修」をスタートさせた。 本研修では、入社3~5年目の若手社員4~5名を1つのグループとして、事前に実施する360度サーベイの結果を活用しながら、1日かけて自身のキャリアと成長に向き合っていく。研修受講後の若手社員のあるべき姿として、次のような目標設定を行った。 キャリアデザインを自分事として認識している。 将来に対する漠然とした不安が薄れ、目の前の業務から「やりたいこと、やれること、やるべきこと」の種を探そうとしている。 現場で上司と連携しながら、自身のキャリアについて深めていく意志が芽生えている。 アイカンパニー研修は、大きく3つのプログラムで構成されている。