配信時代でもリアルタイムでの盛り上がりが重要? 「二重の極みチャレンジ」を機に考える
11月8日に放送された『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』第2期「京都動乱」第30話「森の出会い」で、ついに相楽左之助が破戒僧・悠久山安慈と知り合い、かの有名な必殺技「二重の極み」を習得するエピソードが放送されました。 【写真】左之助に二重の極みを教えた安慈
あと数日で16億回「二重の極み」しないと、左之助が死ぬ!?
一部世代にはおなじみな「フタエノキワミ、アッー!」というネットミームの元ネタとなるシーンはまだだいぶ先ですが、それでもギリギリ「自分もできるかも?」と思ってしまいそうな二重の極みはロマンに溢れ、左之助の過去回想も含めて「やっぱりいいエピソードだな~」と思ったのは筆者だけではないでしょう。 そんなエピソードの放送が終わったタイミング(=最速配信が始まったタイミング)で公式が繰り出してきたのが「二重の極みチャレンジ」なる企画です。 これは物質に拳を当てる際に間髪をいれず二撃を加えることで、抵抗を無視して衝撃を伝えるという二重の極みにちなんで、拳ボタンをダブルタップ(クリック)するという内容。この修行に視聴者が参加し、作中の左之助の「一週間で極めてやらぁ!」という宣言通り1週間で“20億回”いくとクリアというチャレンジ企画です。 ちなみに企画スタートから4日ほど経った11月12日昼時点では4億回強であり、今のペースでは達成できず、左之助は二重の極みを会得できないどころか安慈との約束により死ぬしかないのでは……という状況です。それはさておき、4億回いっていることからもわかるとおり、リアルタイムで観ていた視聴者を始め、今に至るまでこの企画自体はわりと盛り上がっています。
『BLEACH』『リンカイ!』でもリアタイ視聴をより楽しむための企画が展開
こうしたリアルタイムでの盛り上がりを志向した企画で、もっとわかりやすいものが最近ありました。『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』第31話における藍染惣右介の「黒棺」(詠唱破棄)のセリフに合わせて、詠唱ポストをしようという企画です。 要は『天空の城ラピュタ』放送時における「バルス」ツイート(ポスト)のようなものですが、これも放送時には大きく盛り上がり、Xでは関連ワードがトレンド入りを果たしていました。 閑話休題。TVアニメは配信で視聴するというスタイルが近年すっかり定着しました。「気になるアニメはあとでまとめて観る」「クールが終わる前後で評判だったアニメをチェックする」という人も多く見られます。しかし上記した施策が行われているように、アニメ公式側は今でも「地上波最速放送時のトレンド入り」や「みんなで一緒に盛り上がる」といったことを重視しているのかもしれません。 振り返ってみれば、2024年は『リンカイ!』最終回に向けて以下のような企画もありました。 女子競輪アニメということで、最終回で開催されるメインキャラクター総登場レースの結果を予想するというものです。これは左之助や藍染のようなキャラクターと同じ立場になるのではなく、作中で車券を握りしめて主人公たちを応援する観客を疑似体験できるという点が珍しくありました。 こういったSNS上の展開以外でも、『ソードアート・オンライン』の作中ゲームが2024年11月7日14時55分にクリアされたことを記念して、号外チラシが配布されました。「モノ消費からコト消費」といったことはあらゆるジャンルで言及されていますが、アニメを観るという体験はより多くの「コト」に広がっているのかもしれません。秋アニメ、そして2025年アニメでもこういった本編に付随して楽しめる体験の登場を期待したいものです。
はるのおと