【解説】パートで「月11万円で10年」働くと厚生年金はいくら増える? 社会保険加入のメリットまとめ
【パートで月11万】将来の厚生年金がどのくらい増えるのか
それでは、社会保険への加入で将来どのくらい年金が増えるのか考えてみましょう。今回は、今まで国民年金の第3号被保険者だった専業主婦Aさんを例に考えてみます。 これからAさんが月11万円の給与(ボーナスなし)で10年間働いた場合、どのくらい厚生年金が増えるのでしょうか。 ●専業主婦・Aさんが月11万円の給与で10年間働いた場合 〈Aさんプロフィール〉 ・短大を卒業し、26歳まで家業の手伝いをしていた。 ・結婚後、国民保険の第3号被保険者となる。 ・パートとして社会保険に加入せず働いたが、50歳になったタイミングで勤務先から労働時間の増加を提案される。 ・働く期間として、10年間を予定している。 Aさんの生活をみると、短大時代の20歳からは保護者にあたる方が国民年金を払い、結婚して厚生年金に加入する「第2号被保険者」に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者である「第3号被保険者」となっていたようですね。 なお、第3号被保険者は年収が130万円未満であり、かつ配偶者の年収の2分の1未満の方と限定されています。 結論、厚生年金への加入により将来受け取る厚生年金額は増えるといえるでしょう。 50歳からの10年間、働いて厚生年金保険に加入している間の厚生年金保険料は、原則給与から天引きされます。 65歳から受給できる厚生年金の計算式は、以下の通りです。 平均標準報酬額 × 5.481 / 1000 × 2003年4月以降の加入期間の月数 「平均標準報酬額」という言葉は少し難しいかもしれませんが、Aさんの場合は賞与を受け取っていないため月額給与である「11万円」で計算します。 すると、以下のように金額が算出されます。 11万0000円 × 5.481 / 1000 × 12月 × 10年 = 7万2349円 老齢厚生年金の上乗せ分は年額7万2349円、月額にすると6029円です。 厚生年金だけでは多額の増加とはいえませんが、60歳までは厚生年金に加入することで同時に基礎年金(国民年金)部分も増えます。 老齢基礎年金を65歳から満額受け取り、2024年度の年金額と同じと仮定すると、老齢基礎年金は月額6万8000円、老齢厚生年金は月額6029円、合計で月額7万4029円となります。 配偶者がいる場合には夫婦2人の年金として考え、生活していけるでしょう。 しかし「社会保険に加入すると手取りが減る」と聞いたことがあり、加入に対して不安を抱く人もいると思います。 社会保険のメリット・デメリットとは何なのでしょうか