マーケティング動画・バナー画像、わずか1分で…韓国7万ブランドが支持する「AI広告制作ツール」
【11月29日 KOREA WAVE】韓国の広告市場でAI技術を活用した広告制作ツール「ブイキャット(VCAT)」(Visual Creative Automation Tool)に注目が集まっている。 スタートアップ企業「パイオンコーポレーション(Pion Corporation)」のサービス型ソフトウェア(SaaS)に商品詳細ページのURLを入力するだけで、数十件のマーケティング動画やバナー画像をわずか1分で作成することができる。AIが商品ページに記載された画像、価格、主要情報を抽出し、高品質なプロモーション動画やバナーを自動生成する。その後、管理者(マーケターやデザイナー)が微修正するだけで、実際の広告として使用できる。 「ブイキャット」は生成AI技術を活用しており、画像を拡張したり背景や不要な物を削除したりすることも可能だ。また、指定したコピーのスタイルに応じ、必要な文言を自動生成する機能も搭載されている。 パイオンコーポレーションは、モバイル広告プラットフォーム「カウリ」や広告マーケティング会社「フューチャーストリームネットワーク」(FSN)出身の起業家、ジョン・チャンソク氏とチョン・ボムジン氏の共同代表によって設立された。ジョン・チャンソク氏が製品と技術を統括し、チョン・ボムジン氏が事業運営を担当している。これまでに同社が調達した累積投資額は約150億ウォン(約16億円)に達する。 チョン氏によると、広告市場で経験を積んできた両代表は「どうすれば広告動画を簡単に作成できるか」を長年模索してきたという。そして「広告のパフォーマンスを上げるために必要な素材を多様化し、大量に効率的に制作できれば、広告業界に革新をもたらせる」と考えた。 チョン氏は「個々人のペルソナを分析し、それぞれの消費者が好むものや趣味に応じて広告素材をパーソナライズ化できれば、広告の効率を大幅に向上させることが可能だ。今後、AIがパーソナライズされた広告時代を切り開くだろう」と語る。 サービス開始から2年半が経過した現在「ブイキャット」は韓国国内で7万以上のブランドに利用されており、月間50万件以上のコンテンツが制作されている。利用しているのはファッションやビューティー業界だけでなく、ウェブトゥーンや金融業界まで多岐にわたる。主要なユーザーとしては「ネイバーショッピング」「Gマーケット」「SSGドットコム」「ロッテオン」「現代自動車」などが名を連ねている。 例えば、ネイバーショッピングやGマーケットといった大手ECプラットフォームは、連日数千件もの製品企画ページやバナー画像の制作を「ブイキャット」で自動化し、デザイン作業にかかる労力を大幅に削減している。また、現代自動車は、世界の各拠点で個別に広告素材を作成していた問題を「ブイキャット」によって解決した。統一感のあるブランドメッセージとデザインを実現し、グローバルなブランドアイデンティティーの強化に成功した。 チョン氏は「現代自動車の場合、世界400以上の拠点がそれぞれバラバラのデザインで広告を制作し、デザインガイドを作成しても徹底されていない状況だった。しかし『ブイキャット』を導入したことで、統一感のあるデザインとメッセージを効率的に提供できるようになった」と説明する。 さらに、パイオンコーポレーションは国内市場だけでなく、米国や日本といった海外市場への進出も推進している。日本では2024年7月に現地法人を設立し、社員を派遣してオフィスを開設した。契約規模は小さいものの、すでに取引実績もあるというという。 パイオンコーポレーションは、単なる動画制作ツールではなく広告制作から運用までを一括して自動化することを目指している。今年上半期には広告の自動運用サービスもリリースし、ユーザーが広告素材の制作から広告運用までを「ブイキャット」上で完結できる環境を整えた。 チョン氏は「多様な広告素材を迅速に制作し、運用も自動化する。そして、効果の高い素材を選別して再制作することで、広告のプロセス全体を効率化することが目標だ。『ブイキャット』を通じオンライン事業者から大規模ECプラットフォームまで、AIを活用して簡単に高品質な広告を作成できる環境を提供していきたい」と述べている。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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