フランス首相、財政赤字圧縮を公約-野党は反発、新内閣に早くも敵意
(ブルームバーグ): フランスのバイル新首相は財政赤字を大幅に圧縮し、国内総生産(GDP)比で5%近くにすると約束した。この公約は、バルニエ前内閣の崩壊に至った対立の繰り返しを招く恐れをはらむ。
23日に閣僚メンバーを発表したバイル氏は、1月14日に自身の新たな政策課題を議会に提出する。2025年の予算については、2月半ばまでに成立させたい考えだ。
国民議会(下院)が分裂しているため、中道派を中心とする新内閣は極右から極左まで幅広い勢力で構成される野党議員から妥協を引き出す必要がある。主要野党は新内閣の構成に満足していないことを示す兆しが早くも表れており、再び内閣不信任案を突きつける可能性がある。
極右・国民連合(RN)のバルデラ党首は、新内閣を「失敗の連合」と表現。左派では社会党のフォーレ党首が新内閣の陣容を「挑発」だと呼んだ。
フランスはマクロン大統領が6月に議会を解散し、早期総選挙の実施を決定して以来、政治混乱が続いている。この総選挙の結果、議会は大まかに言って左派連合とRN、大統領を支持する中道派の3つに分かれた。12月初めには左派とRNが結託し、バルニエ前内閣を倒した。
欧州連合(EU)は加盟各国に対し、債務をGDPの60%未満、単年度財政赤字を3%以下とするよう義務づけているが、フランスは長らくこの規則を守っていない。今年度の財政赤字はGDP比6.1%に膨らむとみられ、来年度の歳出は切り詰める必要がある。
ブルームバーグ・エコノミクスのアントニオ・バローゾ氏らアナリストはリポートで、「予算プロセスをまひさせている議会の分裂は続き、政治的な行き詰まりの打開はまだ遠いように思われる。この全てが、既に失速気味の景気を圧迫する公算が大きい」と指摘した。
ここ数カ月は政治や予算を巡る問題がフランス債の売りを加速させている。10年物のフランス債とドイツ債の利回り差は23日に81ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、今月4日以来の高水準を付けた。