メジャーリーグを目指した日本人投手、34歳で投資会社社長に ドラフトかからず、ビジネスで世界に挑む
◆そして、オリックスへ
―その後、帰国してどうしたのですか。 卒業した夏、留学生向けのキャリアフォーラムが東京・有楽町であり、オリックスの面接を受けました。 父が銀行員だったので金融関係がいいのではないかと思ったことと、オリックスがプロ野球球団を持っていたことが決め手でした。 面接はとんとん拍子で進み、受かりました。野球のお陰かもしれません(笑)。 ―オリックスで6年間、どのような仕事をしたのですか。 リーマンショックがあった2008年に入社し、2年目に法人営業からエコプロダクトチームという環境ビジネスの部署に配属されました。 オリックスがファイナンスから事業にシフトしようとしていた時期です。 そこで私は水をテーマにビジネスを立ち上げるという特命チームに加わりました。 ―どんなプロジェクトに取り組んだのですか。 一つは上下水道事業です。 地方自治体の予算が縮小される中、インフラが老朽化していることが問題になっていました。 それをオーバーホールするために、オリックスが提供できるファイナンス・サービスはないかと国内外の事例を調査・研究しました。 またペットボトルのパッカー事業をしている会社とタイアップし、オリックスによる水のペットボトルの商品化も検討しました。 世界には「水メジャー」といわれる会社があるのですが、どうやったら日本企業が対抗できるかを検討しました。 チームでは最年少だったので、雑用係も含めて先輩社員をどう巻きこんでいくか学び、役員会の資料準備などを経験しました。 最後の2年間は神戸支店に配属となり、中小企業から上場企業まで営業を担当しました。 オリックスの6年間で本部チーム、支店チームと属性が違う組織で働き、営業スタイルも違う仕事をしましたので、多彩なビジネス経験を積めたと思います。
◆海外でのチャレンジ求め、ストライダーズへ
―その後、2014年に父親が社長を務める事業投資会社のストライダーズに入社します。どういう経緯だったのでしょうか。 オリックスで6年間お世話になり、今後は海外でチャレンジしたいと考えていました。 そんな考えを父に伝えると「ストライダーズはこれから海外事業を伸ばしていきたい。ジョインする気があるか」と言ったのです。 ちょうど30歳を迎え、一つの転機ではないかという思いもあり、ストライダーズに入社をすることになりました。 ―父親が経営する会社に入ることに躊躇はありませんでしたか。 正直迷いはありました。 父と一緒に仕事をやっていけるのだろうかという漠然とした不安もありました。 一方で、大きなチャンスではないかとも 思いました。 父が海外で色々と経験してきたことは知っていました。 一緒になって会社を大きくすることができるのであれば、トライしてみようと決断したのです。
■プロフィール
株式会社ストライダーズ 代表取締役社長&CEO 早川 良太郎 国内外で11社のグループ会社を傘下に持つ事業投資会社を経営し、グループとして不動産事業、ホテル事業、海外事業を軸に企業活動を展開。「挑戦する個人・企業を応援し、すべてのステークホルダーと感動体験を共有し、より良い世界を創造する」という企業理念のもと、社内外で挑戦者を応援しながら、サステナビリティの浸透、ウェルビーイングの実現に取り組む。
(文・構成/安井孝之)