冬の寒さにつながる放射冷却の2大条件は「晴れた夜」と「風の弱い夜」…意外と知らないメカニズムを気象予報士が解説
「放射冷却の影響であすは気温が下がる」などと天気予報のコーナーでよく聞くが、放射冷却とは実際にはどのような現象なのだろうか。粟原一矢気象予報士が解説する。
低気温生む“放射冷却”の現象
金沢地方気象台は2024年11月8日、白山の初冠雪を発表した。平年の初冠雪より18日遅く、2023年より31日遅い観測となった。2024年は残暑の影響で観測史上2番目に遅い記録となったのだ。7日の夜は冬のような寒さだった。8日の県内各地の最低気温を見てみよう。全ての観測地点で今シーズン一番の冷え込みだった。比較的標高の高い輪島市三井と白山市河内では1℃台まで下がった。 このように冷え込んだのは、上空に流れ込んだ寒気のほかに放射冷却によるものと考えられる。「放射冷却」という言葉は冬の時期によく聞くが、実際放射冷却とはどういう現象なのだろうか。実は、放射冷却というのは夜だけでなく日中も起こっていて、太陽と同じように地球も地面から絶えず熱を放射しているのだ。
放射冷却につながる2大条件
地面から熱が逃げていく現象のことを「放射冷却」という。日中は太陽から受ける熱のほうが強いので地面の温度が上がっていくのだが、夜は日差しがなくなるので地面からどんどん熱が逃げていってしまう。その結果、地面の近くの空気も冷やされる。このため夜は気温が下がる。 そして、この放射冷却で気温が下がりやすくなる条件というのが2つある。それは「晴れた夜」、そして「風の弱い夜」だ。晴れている方が寒くなるというのが放射冷却のポイントだ。まずは曇っている場合を見てみよう。空が雲に覆われていると、地面から逃げた熱は雲に遮られて雲の下でこもってしまう。 雲が断熱材のような役割を果たすのだ。
放射冷却を耳にしたら寒暖差に注意
これに対して、晴れた夜は遮る雲がないので、熱は地面から空へとどんどん逃げていく。そうすると、地面近くの空気もどんどん冷やされるのだ。また、風が強いと上空の暖かい空気とかき混ざるので、地面の近くの気温は下がりにくくなる。だから風が弱い方が放射冷却の影響が大きくなるのだ。 今後も放射冷却の影響がありそうなので、日中と夜の寒暖差や体調管理に注意してほしい。 (石川テレビ)
石川テレビ