ローファーはなぜ靴擦れするのか?“足が痛くならない方法”をプロが指南
令和の進化系の逸品リーガル「61FL」
その点、筆者が今年ナンバーワンの出来だと思うのが国産メーカーの雄、リーガルの「61FL」です。設計は日本、生産はタイで、コストは抑えつつこのクオリティはヤバい。履き心地と雰囲気だけなら確実にBASSを超えています。これで2万6400円は破格でしょう。 見た目は完全にBASSのウィージャンズなのに、底を革からビブラムソールにすることで、返りがさらによくなっています。マッケイ製法ですが底を2重にすることで糸を完全に隠しています。至近距離から観察しても、2重底とわかりません。本当に底の返りがよく、木型の設計だけでなく、全体のつくりを見直すことで歩きやすさをアップさせています。 BASSと比較すると、足を入れて数歩歩くと、履き心地に雲泥の差があります。「革の靴下」とはこういうことだったのか、と。当たり前にゴム底なのでグリップがいい。クッションも革よりソフトで、ビブラムなのでタフ。なにより現代の日本人向けに甲が低く抑えられていて、紐靴を履いているかのような締まり感があります。アッパーの素材はBASSとおなじ「ガラスレザー」という光沢のある天然革ですが、裏の革を排除した構造で、蒸れることがまずありません。BASSを令和版にアップデートした、今年一の隠れた名作と断言します。
ビジネスにも使えるコスパ最強の上品ローファー鞆ゑの「TE00Y」
日本のメーカーからもうひとつ。鞆ゑ(ともえ)の「TE00Y」はカジュアル過ぎず、ビジネスシーンでもまったく違和感なく使えます。とにかく上品。 トウがわずかに長い「ほんのりロングノーズ」で、スラックスとの相性は完璧です。表面の牛革はステアと呼ばれる肉厚な大人の牛で、さらにマシーンで圧をかけることでシボを再現し、2万円台とはまったく思えない外観です。型押し革とも呼ばれますが、天然革なのに本当に手入れがしやすい。乱暴な表現ですが、気が向いた時にクリームを塗れば終了。人に踏まれた、トランクにひかれたとかで、かなり深い傷が入っても、クリームを塗りさえすればまったくわかりません。これが型押し革の醍醐味です。 ソールは一見革に見えますが、アスファルトでも滑りづらいゴム底に滑り止めを一体化させた凝りよう。靴の中もインソールの下に「内ふまず・外ふまず」を正確にサポートするパッドが入っており、見た目の華奢さと場逆の履き心地に、誰でも足元を二度見するでしょう。