センバツ2022 1回戦 高知、守備力生かし勝利 3投手の継投策、光る /高知
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)第3日の21日、4年ぶり19回目の出場となった高知は、東洋大姫路(兵庫)との初戦に臨み、4―2で勝利した。3投手の継投策や、チームワークを生かした守備で勝利をつかみ取った高知。2回戦は25日の第3試合で、国学院久我山(東京)と有田工(佐賀)の勝者と対戦する。【小宅洋介、深尾昭寛】 高知の先発は、キレのある変化球が身上のエース・山下。東洋大姫路のエース・森と一歩も譲らない投手戦を演じ、四回までは互いのスコアボードに「0」の数字が並ぶ展開に。試合が動いたのは五回からだった。 「(昨秋は)打撃でチームに貢献できなかったことがくやしい」。大会前にそう話していた櫛田。冬場の努力が花開き、センター方向に力強い安打を放つと、続く三谷も出塁。1死一、三塁の好機で打席に立ったのは、ここまで好投を見せていた山下だった。 「力まずに思いっきり行け」。打席に立つ前、浜口監督からそう声をかけられたという山下がレフト線を走る力強い打球を放つと、高知の応援スタンドは大いに沸いた。父親の圭一さんは「これまで打てていなかったが、打ってくれた。うれしいです」と笑顔。この回には、高橋友も右前へ適時打を放ち、一挙に3点を得た。吹奏楽部の公文彩愛部長も「この調子で頑張ってほしい」とにっこり。この日のブラスバンド演奏には高知と交流のある四條畷学園(大阪)も加わり、スタンドを盛り上げた。 六回からは山下が降板。続いてマウンドに立ったのは、2年生右腕・中嶋だ。昨秋を通じて登板の機会はなかったが、いきなりの大舞台でも堂々たる投球を見せ、六、七回を無失点で抑えた。 だが、東洋大姫路打線も黙ってはいない。八回には相手チーム3、4番の連続二塁打などで2点を返される展開に。緊張の最終回、マウンドを託されたのは、この日3人目の投手となる日野。ボールが先行していたものの、3人の打者をきっちりと凡退に抑えてゲームセット。チームワークを生かした継投策が光り、「高知らしさ」を存分に発揮した試合だった。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇投打に「八面六臂」 山下圭太投手(3年) 「景色が良く、どこか落ち着いていて、すごく集中できた」。先輩たちがたどりつくことのできなかった待望の大舞台は、エースにとってとても心地の良い場所だった。 高知中出身。中学時代はその活躍ぶりから、昨年のプロ野球ドラフト会議で阪神から1位指名を受けた先輩・森木大智投手になぞらえて、「ミニ森木」と呼ばれていたこともあった。偉大な先輩と並べられることはうれしかったが、「森木先輩にも良いところはあるが、自分にもある」。自身の強みを伸ばすべく、練習を重ねてきた。 この冬明けのメンバー発表で初めてエースナンバーを背負うことになったが、特に重みは感じなかった。「自分の実力に後からナンバーがついてきた。(エースナンバーを)背負う覚悟もできていました」。強烈な自負心は、これまでの努力に裏打ちされている。 五回裏には、1死一、三塁の好機で「思いっきり振った」。打球はレフト線を走り、待望の先制点に。投手としては五回まで投げ無失点に抑えるなど、八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せた。「甲子園のマウンドは想像通り少し硬かった。次は大歓声に包まれて投げてみたい。楽しみです」【小宅洋介】