《ブラジル》成長したら「普通の人」に=かつて一世風靡した「磁石少年」
マルコス・パウロ・ガルボネ・ジメネスさんは8歳の時、金属を体にくっつける能力が話題となり、「磁石少年」として一躍時の人となり多くのメディアから引っ張りだこになった。当時、彼の能力について、多くの皮膚科医や専門家が科学的な説明を見つけられず、謎のままとなっていた。時は経ち、20歳の大学生になった彼からは、かつての能力は失われ、現在では街中で声をかけられることもなくなったと語っている。23日付G1が報じた。 マルコスさんがその特殊な能力で注目されたのは2011年のことだ。母親がテレビでクロアチアの少年が金属を引き寄せる能力を持っているという報道を見た際、金属がぽっちゃりした体型の子どもにしかくっつかないことに気づき、自分の息子にその能力があるのではないかと試した。 実際に息子の体にスプーンやフォーク、さらには携帯電話やアイロンまでもがくっついて落ちない様子が確認されたことで、彼の能力は瞬く間に話題となった。マルコスさんの能力はテレビや新聞など多くのメディアで取り上げられ、彼は「磁石少年」として一躍全国的に知られるようになった。 各種メディアからの取材依頼が相次ぎ、彼の生活は一変。その能力の正体についての疑問と憶測が飛び交い、皮膚科医や科学者らがその科学的な根拠を解明しようと様々な仮説を立てたが、どれも決定的ではなかった。 当時、一部の皮膚科医は、皮膚の汗や皮脂が影響している可能性があると指摘したが、汗や皮脂が金属を強力に引き寄せるという説明には無理があるとされていた。コラムニストや専門家は、皮膚の粘弾性が関係しているのではないかと述べたが、そのメカニズムが説明できなかったため、彼の能力の科学的な解明は困難を極めた。 テレビ取材である医師のもとを訪れた際、人間の体は微量の磁気を帯びているが、マルコスさんは少し強めだと説明されたという。「僕が子供の頃、常に裸足で床に触れていたことや、食生活などが関連していると説明を受けた」と振り返った。 その後、マルコスさんの能力は次第に注目されなくなり、2014年ごろには金属を引き寄せる能力も完全に消失した。これについて、皮膚科医のメリッサ・アルフレド氏は「当時のクロアチアの少年とマルコスさんの共通点は肥満の状態でした。現在、マルコスさんは適正体重となり磁気能力を失った一方で、クロアチアの彼は現在も肥満体型であり、金属を引き寄せる力も衰えていません」と説明した。 マルコスさん本人は能力が失われた理由について、特に明確な説明を持っているわけではない。だが過去の経験が現在の生活に直接的な影響を与えることはなかったと述べている。大学での学びやインターンシップに専念する中で、過去の「磁石少年」としてのイメージは薄れつつあるという。