【独占】北陸新幹線延伸「日本のリダンダンシー高める国策。負担は国がすべき」西田委員長インタビュー<後編>
Q.スキーム自体の見直しも考えるか―
そうなると、いままでのスキームを事業化している北海道と西九州にも影響する。例えば佐賀県も「新幹線は要らない、負担したくない」と言ってるが、「全部国がやる」と言ったら反対する理由はないので一気に進む。山陰や四国など、やらねばならない新幹線計画はいくつもあるが、沿線は基本的に過疎県なので、いままでのスキームでの地方負担は無理。国土強靱化も含め「国策として国がやる」と言えばできる。私の一番の目標は、そこにある。何年か前、新幹線10本でいくらかかるのかを国交省に試算させたら50兆円から60兆円だった。北陸新幹線が3兆円から5兆円になったと心配されているが、1年あたり5000億、20年でやれば2500億で、国にしたら大きいお金じゃない。国は道路予算は何兆もあるが、鉄道の予算はほとんどない。道路ももちろん必要だが、新幹線は2、3倍のスピードで、1人の運転手で何千人を一挙に運べる。将来的には貨物新幹線を走らせることが可能で、東京-大阪間は北陸新幹線経由で東京まで4時間もあれば着いてしまうので、トラックよりも断然早い。新幹線ネットワークを全国につなげば、大都市に住まなくても、ふるさとで暮らしながら行きたい時に都会にすぐ行けるようになる。経済効果は計り知れない。この30年間、積極的に国債を発行する国土強靱化も含めた国の総合開発計画が、リーマンショックやバブル崩壊で全く止められてきた。お金を使わない方がいいという思想がはびこり地方がどんどん衰退した、この悪いデフレスパイラルを脱却させるのが、新幹線計画だということ。
Q.吉村知事は小浜ー京都ルートの費用対効果が1を下回る可能性が高いとしているが―
そもそも敦賀ー大阪間ではなく、東京-大阪間で費用対効果を見なければならない。民間の事業じゃなくて国策なのだから、日本全体を豊かにし、災害から強くするというときにB/Cが 1を切ったらやらないという発想自体が間違っている。
Q.大阪延伸の経済効果が伝わっていないのでは―
関西では、北陸はサンダーバードで行けるので、わざわざ新幹線で行かなくてもと思っている人が結構多いが、新幹線は時間が半分以下になる。福井-京都は通勤圏内になり、圧倒的な経済効果が出るが、それを地元負担でやるというのに無理がある。便益を一番受けるのは福井でも京都でもなく基本的に大都市部で、その便益は国が負担する方がいい。
福井テレビ