プロ棋士目指す里見香奈・女流三冠は巻き返しなるか 三段リーグにデビュー
将棋の里見香奈女流三冠=女流名人・王位・王将=(23)が10月12日、プロ棋士の養成機関である「奨励会」の三段リーグのデビュー戦を行い、2連敗と厳しいスタートとなりました。里見さんは女性だけが参加する女流プロ棋戦で戦うのと並行し、2011年に奨励会の編入試験を受けて合格。女性初のプロ棋士(四段)を目指しており、一昨年末にプロの一歩手前である三段に昇段していましたが、体調不良を理由に三段リーグは休場していました。三段リーグは全18局の長丁場で、里見さんが今後巻き返すか注目されます。 「女流プロ」が「プロ棋士」を目指すとは? 里見さんが奨励会三段に
体調不良で2014年から今年9月まで休場
奨励会三段は約半年間をかけてリーグ戦を行い、上位2名がプロ棋士になれます。過去に女性がプロ棋士になった例はなく、これまでは事実上「プロ棋士=男性棋士」を意味していました。里見さんが三段リーグを突破すれば女性初の快挙となります。 里見さんは2004年10月、中学1年生の若さで女流プロとなり、2008年には初タイトルを獲得(倉敷藤花位)。2013年には女流名人位などを含む史上初の女流五冠を達成、島根県出身であることから「出雲のイナズマ」の異名を持ち、獲得タイトル通算19期と女流プロ棋界の第一人者として君臨しています。その一方で、男女の参加資格を問わないプロ棋士への挑戦も目指していましたが、体調不良のため女流棋戦も2014年に半年以上休場したほか、三段昇段後の三段リーグ三期分(2014年4月~2015年9月)の出場を見送っており、今期は念願の三段リーグ挑戦となります。里見さんは初戦を前に「体調に気をつけ、一生懸命に頑張ります」とコメントしました。 里見さんは奨励会入会前に女流枠でプロ棋士の棋戦に参加しており、20戦して4勝16敗と四段以上のプロ棋士に勝利した実績があります。しかし奨励会には年齢制限があり、「満26歳の誕生日を迎える三段リーグ終了までに四段に昇段できなかった者は退会」(勝ち越した場合は延長可)という厳しい決まりがあります。羽生善治三冠や渡辺明二冠などは中学生時代に奨励会を突破、プロ棋士になっています。里見さんの23歳三段はけっして「若い」とはいえず、年齢制限の重圧がかかります。また並行して戦う女流棋戦でもタイトル戦などが多く、奨励会休場明けの里見さんにとって体力面なども課題になりそうです。