プロ棋士目指す里見香奈・女流三冠は巻き返しなるか 三段リーグにデビュー
序盤6戦で上位集団に入れるかがカギ
奨励会三段リーグで戦った経験を持つ元「週刊将棋」編集長の古作登氏(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)は、里見さんの最近の将棋について「以前は終盤の力で逆転するという戦いも多かったが、奨励会でもまれ、取りこぼしがなくなってきた印象がある。今年に入って女流棋戦の連勝記録を塗り替える21連勝を達成したのは並みの力ではないし、本人も手ごたえを得て復帰したのでは。勉強量も男性棋士から評価されており、四段に昇段しても驚かない水準にはあると思う」と話します。 一方、三段リーグの戦いについては「私が戦った皮膚感覚では、三段リーグの壁は強烈に高い印象がある。三段の時に二段と対局すると少し楽に感じるくらいだった。リーグ戦は前半に負けがこむと落ち込む。マラソンのように序盤6戦で上位集団に入っていないと精神的にきついのではないか」と指摘しています。 女流プロと男性プロ棋士とのこれまでの対戦成績は男性の勝率が8割強で、女性にとって厳しい結果が残っています。しかし、将棋は球技や格闘技などと違って男女の体格差や筋力差は関係のない頭脳ゲームであり、これまで女性のプロ棋士がいなかったのは男性と女性の競技人口の差がかなり大きかったことが一因との指摘もあります。今年に入ってポーランド出身のカロリーナ・ステチェンスカさんが女流棋士仮資格である女流3級となるなど話題も増えているプロ女流棋界。古作さんは「里見さんの挑戦が将棋の女性人口を増やすきっかけになればと期待している」と話しています。