米子北、被シュートゼロの完封勝利で15連覇&20回目の選手権出場達成!! 鳥取城北は“三度目の正直”ならず:鳥取
[11.4 高校選手権鳥取県予選決勝 米子北高 2-0 鳥取城北高 Axisバードスタジアム] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権鳥取県予選決勝が11月4日に行われ、米子北高と鳥取城北高が対戦。3年連続の同一カードとなった一戦は、米子北が2-0で勝ち、15年連続20回目の出場を決めた。 当初は2日に予定されていたが大雨の影響で延期となり、仕切り直しとなった一戦は立ち上がりの前半4分(40分ハーフ)に動く。CKをはね返されたこぼれ球に反応した米子北DF樋渡蓮音(3年)が、エリア外中央から右足を振り抜くと、鮮やかにゴール左上スミに決まった。 少し浮いていたボールをきれいにミートし、本人が「昨日の練習で城市先生(城市徳之総監督)から『かぶせて打つように』と言われていました。すごく気持ち良かったです」と笑顔で振り返ったスーパーミドル。中村真吾監督も「試合を楽にしてくれた」と評価した一撃で早くも均衡を破ると、その後も主導権を握って攻め込んだ。 しかし、その後の猛攻をしのいだ鳥取城北も徐々に反撃に転じ、20分には左サイドを突破したMF寺坂聖也(3年)のパスを、MF森本凱斗(3年)がエリア内左サイドで前に持ち出し、左足シュートでネットを揺らす。しかし、前に持ち出す際のプレーでハンドの反則があってシュートの前に主審の笛が鳴っており、同点とはならなかった。 その後は多くのチャンスを作りながらも追加点を奪えなかった米子北は、後半も開始22秒でFW石飛五光(2年)がシュートを放つなど意欲的に攻め込むが、前半同様に追加点が遠い。守備を固める相手を中央突破やサイドからのクロス、ロングスローでこじ開けようとするが、キャプテンのDF織戸雅也(3年)を中心とした鳥取城北の粘りの守備を崩せずにいた。 鳥取城北は昨年度の決勝で米子北に1-2で敗れたものの、0-1で迎えた後半23分にPKで同点ゴールを決め、一度は追いついている。再現を狙いたいところだったが、米子北の守備陣もスキを見せずに対応し、1点差のままで試合は推移した。 それでも33分、ようやく米子北の猛攻が実る。途中出場で右サイドハーフに入ったDF久徳庵道(3年)が、エリア内右サイドのFW鈴木颯人(3年)にパスを送り、自らもエリア内に走り込んで鈴木の折り返しを受けると、密集の中で相手をかわしてからニアサイドに蹴り込んで2-0。鳥取城北も何とか1点を返そうと奮闘したが、そのまま米子北が完封勝利を収めた。 鳥取城北は一昨年度の予選決勝でも米子北に1-2で敗れており、三度目の正直での雪辱と初優勝を狙ったが及ばず。インターハイ(全国高校総体)予選は準決勝で境高に敗れて挑戦権を得ることができず、巻き返して大きな壁に挑んだが、またもはね返される結果となった。 貫場貴之監督は「今年の3年生は『まとまりの代』で、練習から全員でまとまり、さぼることなく一生懸命にやってきた3年生が中心のチーム。この試合で、守るべきところでしっかり守り、1・2年生の模範となるような振る舞いをしてくれた」と戦いぶりを評した。米子北の壁は高く、乗り越えるのは容易ではないが、「3年生が引っ張ってくれた姿を見た1・2年生が、あの悔しさがあったから、という思いでやってほしい。挑戦を続けます」と今後を見据えた。 米子北は15年連続で、区切りとなる20回目の出場を達成。それでも中村監督は、鳥取城北が予想以上に引いて守ってきたことで「パスをつなぎやすくなると思ったけど、そのつなぎが全然ダメ。背後にはスペースがないけど、脇にはスペースがあったので、ボールを動かして攻めていければよかった」と課題を挙げた。 一方、守備は公式記録で相手に1本もシュートを打たせず。高円宮杯プレミアリーグWESTで、今回の予選開幕後の試合も含めて11連敗と苦戦していたこともあり、予選を通じて今後への勢いをつける重要性を指摘していた中村監督は、「これといったピンチもなかった。そういう試合運びができたことは、地味だけど評価できるし、勢いがつけばいいと思う」と語った。 昨年度の選手権は2回戦で昌平高(埼玉)と対戦し、1-0で迎えた後半アディショナルタイムの40+4分、ラストプレーで失点して追いつかれ、PK戦で敗退。中村監督は「負けたら終わりの選手権で、ビビらず自分のやりたいこと、チームのやりたいことができるか。そのために走ること、一つになることを大事にしてほしい」と選手たちの今後の成長に期待を寄せていた。 (取材・文 石倉利英)