藤井聡太竜王が25日開幕の竜王戦本戦展望…多士済々な11人参加のトーナメント、挑戦権は誰の手に?
藤井聡太竜王への挑戦権を目指す将棋の第37期竜王戦の決勝トーナメント(本戦)が、25日に開幕する。予選にあたる1~6組のランキング戦を勝ち抜いたのは、最年少棋士から羽生世代のベテランまで多士済々な棋士11人。本戦後の七番勝負で待ち受ける藤井竜王に挑戦権争いの展望を聞いた。(読売新聞文化部 星野誠) 【写真特集】藤井聡太竜王への挑戦権をかけて戦う11人のチャレンジャー
注目株の藤本五段
――挑戦権争いの展望をお願いします。 藤井 やはり、左の山だと6組優勝の藤本五段が注目株です。初戦で渡辺七段、勝つと高野六段ということで、最初に若手実力者の2人と対戦する。そこを何とか突破していけば、さらに上も見える展開なのかなと思います。 ――藤本五段の印象は。 藤井 成績はもちろん、内容も実力を裏付けていると思います。序盤は自分の得意な形で何とか勝負しようというタイプで、今の棋士では割と珍しい感じですね。中盤で駒がぶつかって以降は急所を的確に捉えて、複雑な局面でもうまく指されている印象があります。 ――若手実力者の先には、斎藤八段と広瀬九段という「1組の壁」が待ち受けています。 藤井 お二人とも安定した実力者で、終盤力が最大の持ち味です。一時期調子を落としているかなという印象もありましたが、最近は復調されて、挑戦権争いの上でも注目が集まります。 ――斎藤八段とは練習将棋を指していた間柄とか。 藤井 私は当時三段でしたが、立場の違いを全く感じさせず、対等に指していただいた。すごく勉強になったなと思います。
独創性が光る山崎八段
――棋聖戦で戦っている山崎八段が、1組優勝でスーパーシードです。 藤井 山崎八段と言えば、序盤から独特というか、独創的な着想の手を指される印象です。そういうところをランキング戦でも存分に発揮されて、勝ち上がってこられたと思います。 ――右の山には、佐藤九段、郷田九段と羽生世代の2人が登場します。 藤井 右の山は久保九段も含めて過半数がベテラン。近年では珍しいですよね。スタートが郷田九段と池永六段の対戦で、お二人とも腰の重い棋風なので重厚な将棋になるでしょう。 ――その勝者が佐藤九段と対戦します。 藤井 ランキング戦でも永瀬拓矢九段、広瀬九段、伊藤匠叡王を破って本戦出場を決める素晴らしい活躍でした。内容的にも佐藤九段らしい力強さが出ている対局が多かった印象です。 ――2組優勝の佐々木八段は久保九段との一戦に臨みます。 藤井 久保九段は今回唯一の振り飛車党ということで、期待されているファンの方も多いかなと。佐々木八段は2組優勝での決勝トーナメント進出ということで、燃えているところがあると思います。