バンガード、競合ブラックロック出身ラムジ氏を次期CEOに起用
(ブルームバーグ): 米資産運用会社バンガード・グループは、ティム・バックリー氏の後任となる次期最高経営責任者(CEO)に、ライバル会社ブラックロック出身のサリム・ラムジ氏を指名した。インデックス・ファンドで投資に革命を起こしたことで有名なバンガードは初めて社外出身者をCEOに起用する。
14日に電子メールで配布された発表文によると、ブラックロックで上場投資信託(ETF)とインデックス投資を監督していたラムジ氏は、7月にバンガード入りする。バンガードは故ジョン・ボーグル氏によって約半世紀前に設立され、3月末時点の運用資産は約9兆3000億ドル(約1460兆円)。
ラムジ氏は発表文で、「今の投資家を取り巻く環境は変化しており、人々に投資で成功する最高のチャンスを与えるというバンガードの使命をさらに推進する機会をもたらしている。これはバンガードの50年の歴史のどの時期よりも重要になっている」と指摘。「私の焦点は、全ての投資家のために行動する信頼される会社であり続けるという中核目的に忠実であり続けながら、この機会に対応するためにバンガードを結集することだ」とコメントした。
2月にバンガードはバックリー氏の年内引退予定と、取締役会による後任探し開始を発表していた。バックリー氏はバンガードに30年勤続するベテランで、2018年から経営トップの座に就いている。
ラムジ氏はニューヨークを拠点とする世界最大の資産運用会社ブラックロックに約10年間勤務し、今年1月に退社するまではラリー・フィンクCEOの後継者候補の1人と目されていた。「iシェアーズ」とインデックス投資のグローバル責任者として同社のETF事業の大幅な拡大を監督した。同事業の運用資産は現在、約3兆7000億ドル。
10兆5000億ドルの運用資産を抱えるブラックロックは、急成長するETF事業でバンガードと直接競合する。米国のETFではブラックロックが首位、バンガードが2位。