大学生の息子が「教師」になりたいと言っています。教職大学院を修了すると「奨学金の返還が免除」されるって本当ですか?
深刻な教員不足が社会問題になっています。文部科学省は質の高い十分な量の教師人材を確保するため、教職大学院などを修了した人を対象に、令和7年度から奨学金の返還免除を実施する予定です。また、国の施策に先立って自治体も教師になった人に対する奨学金返還支援の取り組みを行っています。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
教師を取り巻く状況
教育内容や教育環境は時代とともに変化してきていますが、どの時代においても、子どもの学びを支える教師は公教育の要であり、教師の質は教育の質に直結します。 また、特別な支援が必要な児童生徒数や不登校等の児童生徒数が増加していることをはじめ、学校現場が抱える教育課題も多様化・複雑化しています。 また、AI・ビッグデータ・IoT 等の技術革新、グローバル化、少子化・人口減少等の急激な社会の変化や、1人1台端末をはじめとした学習環境の進化等を踏まえた、子どもたちの新たな学びへの転換にも対応することが必要になっています。 令和5年度(令和4年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況を見ると、小中高等全体の受験者総数は12万1132人で、前年度に比較して5258人減少しているものの採用者総数は3万5981人で、前年度に比較して1666人増加しており、競争率(採用倍率)は3.4倍(過去最低)となっています。また、全体の競争率は15自治体で増加、45自治体で減少となっています。 競争率の低下は、大量退職等に伴う採用者数の増加と既卒の受験者数の減少によるところが大きいのが要因です。 これからの時代に必要な教育の実現、教師不足や採用倍率低下の状況等を踏まえると、質の高い十分な量の教師人材の確保が課題です。 優れた教師に得るためには、教職の魅力向上が不可欠です。学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実等を一体的に進めることが重要であり、こうした取り組みの一環として大学院卒の奨学金返還支援を国は推し進める予定です。