妊娠25週で生まれた714gと760gの双子の女の子。「最低限の骨と皮しかない、お人形のようだった」【体験談】
生まれた赤ちゃんは「最低限の骨と皮があるような小ささだった」
出産直前まで張り止めの点滴を最大量投与していた麻由さん。さらに赤ちゃんを包んでいる膜が炎症を起こしてしまったそうです。麻由さんは「副作用と炎症とで意識がもうろうとして出産のときの記憶があいまい」だと言います。 「それでも、生まれる瞬間に小さな産声が聞こえて安心したことを覚えています。きっと産声は聞こえないだろうと覚悟していたんですが、子猫みたいに『ふにゃぁ』ってとても小さな声が聞こえ、『生きていてくれた、よかった』と。 赤ちゃんを取り上げてすぐに、医師が私の顔の近くで見せてくれましたが、正期産で生まれた長女とは全然違う姿でした。赤ちゃんらしいふっくらした感じではなくて、最低限の骨と皮があるような…なんだかお人形みたいだな、と感じました。 双子とわかったころから、長女とは違う出産になるだろうと思っていたし、長女のお友だちのきょうだいで小さめに生まれた赤ちゃんの話も聞いたことがありました。だけどまさか1000g以下で生まれてくるとは考えてもいませんでした。 でも生きて顔が見られてよかったです。その後、双子はすぐにNICUに運ばれました」(麻由さん) 出産当日、夫の功さんはNICUの双子に面会し、帝王切開手術後で動けない麻由さんに双子の写真と動画を送ってくれました。 「夫から『二女の手に触れたら、跳ねのけられた』とメッセージがあり、『跳ねのける元気があるならきっと大丈夫だね』と笑いました。夫の面会のときに、医師から双子たちの状態についての説明があったそうで、私はその内容を夫からメッセージで教えてもらいました。 まず命が1日もつかどうか。超えれば3日、1週間と壁がある、とのことでした。ただすぐに命にかかわるような大きな問題はなかった、と。夫はきっと私が心配しすぎないように、情報をしぼって伝えてくれたんだと思います。『とりあえず3日間生きれば大丈夫』と言われ『頑張って!』と祈るような気持ちでした」(麻由さん) 麻由さんが心配しすぎないようにと、必要最低限のことだけ伝えた功さんでしたが、実は当時は「絶望的な気持ちだった」のだそうです。 「夫は私の緊急入院が決まって、双子たちが小さく生まれるかもしれないとわかってから、低出生体重児についていろいろと調べたらしいです。出産後しばらくたってから夫と話をしたときに『生きて帰れないかもしれない、重い障害が残ったらどうやって仕事と介護を両立しようか、お金はたりるか、とか、実は不安でいっぱいで落ち込んでいた』と聞きました。コロナ下の入院で、私が退院するまで夫とは会えなかったので、そんなに落ち込んでいたとはそのときは知りませんでした」(麻由さん)