エフエム宮崎「ハイブリ」の木村つづくさん、立ってマイクに向かう理由「明るい番組にしようと思い」
同県延岡市出身の木村さんは元々、広告会社に勤めていた。転機となったのは28歳の時、米ニューヨークへの一人旅だった。色々な人がおり、「世界はどれぐらい刺激的なのか」と思うようになった。30歳で退社。バックパッカーとなり、約30か国・地域を約2年かけて旅して回った。
行く先々で現地の人に接する中で感じたのは世界の多様性だ。「相手の数だけ個性がある。正解は一つではない」。その経験は多くのリスナーと触れ合う今の仕事に生きていると思う。
帰国後、会社員時代から知るエフエム宮崎関係者に「ラジオで旅の話をしてほしい」と誘われ出演。同局に縁ができ、2005年4月に始まるハイブリでパーソナリティーとなった。
番組開始から20年。この間、情報技術は発展し、テレビなどでは人工知能(AI)を使いニュースを自動で読む取り組みも始まった。
「ラジオはながらのメディア。日常に溶け込む力があり、(リスナーとの)共感性、ローカル性が高く、聞いている人が地元を感じることができると思う。パーソナリティーの経験値から出る言葉には個性がある」。ラジオにはそんな力があると思っている。
毎朝夫婦でハイブリを聞いている都城市の自転車店主、野下さんは仕事が予定通り進まずに落ち込み、番組にメッセージを送ったことがある。番組で紹介され、木村さんから「応援しています」と激励の言葉もあり、前向きな気持ちになった。
木村さんは「(ラジオで私は)主役じゃなくていい。リスナーさんが何かしながらでも私たちの言葉が耳から入ってきて面白かったり、やるべきことの手が進んだりすれば一番うれしい」。これからもラジオの前にいる人に向け、心を込めて元気な声をマイクを通して響かせたいと思っている。