大谷翔平にとってロバーツは“史上最高の監督”か? 米名物記者が明かす「私がロバーツ宅を訪ねた話」「トランプ前大統領が批判も…」
なぜスター選手から愛されるのか?
そんなロバーツ監督は当然、選手からも慕われる。そこが同監督の一番の強みだという。 「自分のチームの選手を1人のアスリートとしてだけではなく人間として知ろうとするところが彼の持ち味だ。これまでドジャースに所属したことのある選手や、今所属しているムーキー・ベッツやフレディ・フリーマンも、みんなロバーツの人柄をほめている。彼は毎日、必ず選手1人1人に寄っていって話しかける。ほんの一言、二言のときもあるし、ただ目を合わせてニッコリするとか挨拶するだけのときもあるが、そんなちょっとした触れ合いが人間関係を作っていくとロバーツは考えているし、現代の野球界、スポーツ界では、監督が親しみやすく接することで選手の潜在能力をさらに引き出すことができると信じている。それにいい関係を作っておけば、選手本人の気が進まないようなことを指示しなければならないときも、ロバーツの言うことなら仕方がないと受け入れてもらえる」 大谷の場合もそうだ。エンゼルス時代は毎日試合に出たがったが、ロバーツ監督の下ではシーズン序盤ですでに何度か休養を取ることも受け入れている。 「それもチームがポストシーズンに進出するという大きな目標のためと理解しているからだろう。10月のポストシーズンを見据えていれば、シーズン序盤で無理をすることはないからね。オオタニは勝ちたいという強い思いでドジャースにきたし、ロバーツ監督もチームが勝つことを最優先に考えている。チーム全体が勝利に向かって一つになって動くというチーム文化があり、それはまさにオオタニが求めていたものだと思う。チームには何人もスター選手がいるので、1人でチームを背負うプレッシャーもなくチームプレーヤーに徹することもできる。選手にとっては、やりやすい環境だ」
「ロバーツは大谷史上最高の監督か?」
大谷はメジャーに移籍後、名将といわれるマイク・ソーシアとジョー・マドン、ソーシアの後を継いで1年エンゼルスを率いたブラッド・オースマス、監督としてはルーキーだったフィル・ネビン、そしてロバーツと、ここまで一緒にやってきた監督が5人いる。それぞれの監督を比較すると、ロバーツ監督は一番、大谷に合っているのだろうか。 「オオタニという前例のない二刀流選手を扱うという点においては、ロバーツは他の監督よりも合っているように感じる。コミュニケーションが極めて取りやすいからだ。 監督の比較に関しては、ソーシアは古風で権威主義的な監督スタイルで、何でも自分で決めて、それを選手にやらせるというタイプ。だが米国では、そうしたリーダーシップの形は今の選手たちには受け入れられなくなった。今の選手は、疑問に思ったことは何でも聞いてくるし、それに対するしっかりした答えを求めてくる。何の疑問も持たずにボスに従う選手などもはやいない。なぜそれをしなければならないか、理由が必要だ。 ソーシア、オースマスを経て、2020年に監督に就任したのがマドンだった。2006年からレイズで指揮を執り監督としての経歴が長いが、2015年にカブスを指揮するようになって以降はエンゼルス時代も含め、選手の話をよく聞くようになり、現代の監督に求められるスタイルに変わっていった。エンゼルスでは、オオタニに関するルール、例えば登板前日や登板翌日には休ませるなどの決まり事を撤廃し、本人の意思を尊重してプレーさせるようになったのもマドンだった。 エンゼルスで初めて監督に就任したネビンは、非常に情熱的な指揮官だということは広く知られているが、とても知的な指導者でもある。監督としてやるべきこと、やってはいけないことを実戦の中で着実に学び、いい監督になりつつあったが、チームが負け続けたので解任され、残念だった。 ロバーツも監督として年月をかけて成長し、実績を積み上げてきた。ロバーツのことを知らない新加入の選手からも一目置かれるくらいの存在になっているし、チームに入って一緒に戦っていく中でさらに尊敬されるようになっていると思う。オオタニもロバーツをリスペクトしていると感じる」
ロバーツ「彼はオープンになった」
ロバーツ監督はシーズンが始まってから、大谷が以前よりオープンになったと話したことがあった。その背景には、長年の相棒的存在だった水原一平元通訳が違法スポーツ賭博にはまり大谷の銀行口座から不正送金していたことが発覚して球団を解雇されてから、通訳なしでコミュニケーションを取るようになったこともある。 では、通訳の存在というのは、米国人記者からはどう見えるのだろうか。通訳の存在で日本人選手の印象は変わるのか。 〈つづく〉
(「メジャーリーグPRESS」水次祥子 = 文)
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