優美なたたずまい フランス直輸入スイーツと繊細な気遣いで客に”幸せ”届ける 芦屋の輸入菓子販売店
兵庫県芦屋市内を流れる芦屋川沿いでひときわ目を引く、白を基調にした優美な建物。家具店や美容クリニックなどと勘違いされることもあるというこのたたずまいの中に、フランス直輸入スイーツの販売店がある。代表の幼い頃からの思いが形になったこの店では、サロンのような雰囲気とさまざまな商品、そして繊細な気遣いが客を迎える。 【写真】フランス・パリの邸宅のよう 「ル・ボヌール パリス 芦屋」店内の様子 「幼少期、近所に素敵なお菓子屋さんがありました。毎月、親の給料が出たタイミングで、可愛らしいお洋服を着せてそこにお菓子を買いに連れて行ってくれたんです」と話すのは、「ル・ボヌール パリス 芦屋」代表取締役の秋山裕実さんだ。この体験が思い出に強く残り、「いつか自分もそんな店を開きたい」との漠然とした夢を抱いたのだという。 それから月日が経った2015年。秋山さんは、2万社を超えるヨーロッパの菓子メーカーが参加する博覧会がドイツ・ケルンで開催されることを知り、足を運んだ。50種類ほどの菓子を買って帰り、自分で食べておいしいと感じたものを「日本で売りたい」と思いたった。 そして、製造会社にメールで熱い気持ちを届けて交渉を開始。事はなかなか簡単には進まなかったが、「現地に足を運ぶなどして根強く交渉した結果、日本での販売を許可してもらえた」と、秋山さんは当時の苦労を振り返る。 秋山さんが輸入し、こだわりの詰め込まれた店で販売しているゼリー「パテ・ド・フリュイ」は、フランス語でフルーツゼリーを意味する。調理前の原材料の総重量のうちフルーツが50%以上を占めていないと「パテ・ド・フリュイ」とは名乗れないという。フランスのものは大きめだそうで、日本人の好みに合うよう少し小さめにと発注しているというこだわりぶり。パッケージも秋山さん自身がデザインしている。 そういったこだわりある品は各方面から評価され、コーティング部分のペーストを輸入して製造したというキャラメルポップコーンが、JAL・日本航空の国際線で機内食に選ばれた実績がある。 時代の流れに合わせた工夫も重ねてきた。 コロナ禍で輸入が制限された際には、日本の材料で何か作れないかと考え、しょうゆを使った和のスイーツを作り出して世に送り出した。原材料にしたしょうゆは、京都・名古屋・東京など、様々な産地のしょうゆ会社に交渉。試行錯誤しながら、最終的にしょうゆで味付けしたカシューナッツを完成させた。 同社ではカフェの営業も手掛けている。店内は、年配者が立ち上がるときに転ばないようにと配慮し、テーブル・イスともにかなりの重量があるものを使用。テーブルは大理石をオーダーで切って制作されたオーダー品だという。店の前の階段で補助が必要な場合は店のスタッフが足を運び、客の代わりにすべての荷物を持って降りる。 「ボヌール」の意味は"幸せ“。秋山さんは「今後もお年寄りの方や子どもさんなど、幅広い方が買いに来たくなるような店にしていきます」と締めくくった。 ※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より
ラジオ関西