がん、肥大、排尿…「前立腺の問題」について知っておきたいこと、11人に1人はがんに
肥大は高齢男性の半数以上、積極的な治療より様子見の方がいい場合も
前立腺の悩みを誰にも相談せずに一人で抱え込んでいる男性は多い。しかし、無視したからといって問題が解決するわけではない。英国のチャールズ国王は1月26日に入院し、前立腺肥大症の手術を受けた。 ギャラリー:炎症を抑える食べ物とは、病気の進行やがんの治療にも影響 写真6点 前立腺の肥大は、51~60歳の全男性のうち半分に見られるという。そしてその割合は、60~69歳になると70%に、85歳以上になると90%に跳ね上がる。また、米国がん協会によると、米国では一生涯で約8人に1人の男性が前立腺がんと診断される(編注:国立がん研究センターのデータに基づく計算によれば、日本では約11人に1人)。 加齢に伴って出てくる前立腺の問題に、遺伝や環境、食生活などがどう関わっているのかについて正確なことはわかっていないと、米ジョンズ・ホプキンス大学医学部前立腺がんプログラムの責任者であるアービン・ジョージ氏は言う。つまり、今のところ簡単に実践できる予防法はないということだ。「前立腺肥大症も前立腺がんも、『1日1個のリンゴで医者いらず』といった対応策はないのです」 しかし、排尿の問題で悩んでいる男性には、幸いにもたくさんの治療の選択肢がある。また、前立腺がんと診断される人はいまだに気が滅入るほど多いものの、治療を遅らせても安全なケースや、まったく治療しなくても問題ないケースが少なからずあることも、最近の研究で示唆されている。
前立腺、そして前立腺肥大症とは?
前立腺はクルミ大の大きさをした腺で、精液の一部を作る役割を担っている。精液や尿の通り道である尿道を取り囲んでいるため、肥大すると尿道が圧迫される。 男性が歳をとって前立腺の大きさが2~3倍になった状態を、前立腺肥大という(クルミ大がレモン大になったと想像してみよう)。そうなると排尿しにくくなったり、膀胱を完全に空にすることが難しくなったりする。ほかにも、頻尿、夜間排尿、尿失禁などの症状がある。このように排尿の症状があると前立腺肥大症と呼ばれる。