相続したオンボロ空き家を放置…「特定空き家」に該当すると、固定資産税が最大6倍に【相続専門税理士が解説】
空き家を放置することの懸念点
まず、草木が伸びて近隣に迷惑がかかるほか、壁や柱が崩れて倒壊する危険性もあります。ほかにも、ゴミが持ち込まれてゴミ屋敷になる、不審者が居つく、不審火が生じるといったリスクがあります。 また、家のなかに放置された棚やテーブル、テレビといった大型の家財道具も粗大ごみとなりますから、その処分が必要になります。 空き家になった実家の相続を回避する方法についても考えてみましょう。どうしても実家を相続したくないなら、相続放棄する方法もあります。ただし、もし相続放棄してしまうと、預貯金等の資産も含め、すべての相続財産を放棄することになるため、その点は判断が必要でしょう。 また相続人の全員が相続放棄すると、国庫に引き継がれることになります。相続財産管理人が選任され、清算することになりますが、相続財産管理人が選任されるまでは、相続人が空き家を管理しなければいけません。
空き家を有効活用する
空き家を有効活用する方法について考えてみたいと思います。 相続後の理想的な運用としては、リフォームして賃貸物件にできればいいでしょう。家賃収入が得られますし、誰かに住んでもらうことで、家屋の劣化のスピードを緩めることにもつながります。 しかし、貸主になることで、設備等の故障への対処や、必要な修繕も行わなければなりません。管理を管理会社に依頼しても費用が発生します。そもそも、借主が見つかればいいですが、地方の過疎地だと借主を見つけることは難しいでしょう。何よりも、一度賃貸に出すと、その後は簡単に売却できません。居住用の物件として売ることができず、投資用不動産の売買になってしまうためです。通常は、居住用の物件の2割くらい値下がりすることになります。 空き家対策特別措置法の「特定空き家」に指定されると、固定資産税が6倍になります。「特定空き家」に該当すると、行政指導が入る恐れもあり、なにより近隣住民とのトラブルが心配です。それなら、空き家を解体したほうがいいでしょう。しかし、解体費用は1坪あたり4~6万円くらいかかります。20坪だと100万円ぐらい必要です。 であれば、空き家を他人に無償で譲ることも視野に入れなければなりません。自治体に寄付する方法もあるでしょうが、必ずしも自治体が受け入れてくれるかどうかわかりません。利用価値がないと思えば、自治体も拒否するでしょう。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄