相続したオンボロ空き家を放置…「特定空き家」に該当すると、固定資産税が最大6倍に【相続専門税理士が解説】
空き家となった実家を相続したものの、持て余しているという人は少なくありません。以前は放置することで問題を先送りにできましたが、近年では法改正され、相続人の速やかな対処が求められます。相続専門税理士の岸田康雄氏がやさしく解説していきます。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
空き家数が全国900万戸に
空き家対策特別措置法が施行され、空き家を放置することに対して厳しい処置をとるようになっています。 この法律は、空き家の発生を抑えて活用を促すための法律で、窓や壁の一部が壊れるなど管理状態が悪い「オンボロの空き家」には、税金の優遇をなくし、処分を急がせる目的もあります。 この税優遇とは、住宅用地には固定資産税を減額する特例があります。最大で6分の1に減額するというものです。しかし、倒壊する危険がある「特定空き家」と、その一歩手前の段階にある「管理不全空き家」については、固定資産税の特例が受けられないようになっています。 空き家であっても相続してしまうと、毎年、固定資産税や都市計画税がかかります。固定資産税は課税標準額の1.4%、都市計画税は課税標準額の0.3%です。もともと親の自宅であれば、住宅用地として固定資産税が最大で6分の1、都市計画税が最大で3分の1まで特例で減額されています。それが相続後「特定空き家」に該当すると、住宅用地の特例を受けられなくなり、固定資産税が最大6倍になってしまいます。
増加し続ける空き家数
2024年4月に公表された最新調査結果によると、居住目的のない空き家数は、全国に900万戸もあります。2018年時点の350万戸より倍以上に上ります。 地方では、人口が減少して過疎化が進んでいる地域も多いと思いますが、買主を見つけるのは容易ではありません。最近では地方自治体の空き家バンク、メルカリのように個人間の売買のマッチングサイトもあります。「処分に手間がかかる」「どうせ売れない」とあきらめるのではなく、いろいろな手段を試してみることをお勧めします。