【内田恭子さん】日本文化の誇り「茶道」で繋がる国際交流の魅力|VERY
知性のある上品なファッションと聡明なキャラクターで人気の内田恭子さん。VERY NaVYで、彼女が愛する「モノ、コト、場所」を通じてその〝審美眼と価値観〟を知るエッセイ連載。今回は、内田さんが40歳からはじめた趣味「茶道」についてです。
内田恭子さんのmy LEGEND「茶道」
40歳近くから足を踏み入れた茶の湯の世界。仕事や育児、子どもの受験とお休みをさせていただきながらも、着実に歴だけは伸び続ける一方で、お点前に関しては亀の歩み。机上の学びと違うから、身体で覚えていくことが多い茶道。一つ一つの動きは、きちんと理にかなっていて、そしてその流れもまた然り。一服のお茶を出すまでに、日本人の美しい所作、気遣い、五感で自然を愛でる気持ちなどがぎゅぎゅっと詰め込まれているのです。けれども残念ながら覚えの悪い私。お稽古でせっかく覚えたことも、次のお稽古では綺麗さっぱり忘れている始末。またお点前も季節によって変わってくるから、一年経った頃には、あら新鮮!と感動している始末。ホント、子どもの覚えの悪さをキーキー怒っている場合ではない。それでも尊敬する先生や優しい社中のみなさんに恵まれ、こんな私でもなんとかやってこれている気がします。 実践の学びとして先生のお茶会のお手伝いをさせていただくこともあり、先日も濃い緑に囲まれたドイツ大使公邸にお伺いする機会がありました。お庭にはなんとも立派なお茶室があり(残念ながら今は老朽化で使用されていないそうです)、コロナ前まで大使館の職員の皆さんがお稽古を受けていらっしゃったそうで、立派なお道具がたくさん揃っていました。日本の文化を通してその国や人たちを理解してくれようとするその気持ちが素直に嬉しいですよね。 お客様は外国の方がほとんどだったのですが、お点前をご覧になる様子も興味津々。英語を流暢に扱われる先生が、一つ一つの所作の意味をお話ししながらのお点前をする中でも、「どっちに器をまわすの?」とか「beautiful!」と、とても積極的。茶道のように「道」がつく日本の文化はJapanese Mindfulnessとして海外ではとても高く評価されています。まさにその通りで、その空間はとても平和で穏やかで、笑顔が絶えないものとなりました。 お手伝いしていた私もただ楽しかっただけではなく、こんなにも自分の文化を喜んで受け入れてもらえるということが、嬉しくもあり、日本人として誇りに思えるなんて!日本に住んでいると、自分を日本人と意識することがあまりにも薄れてきているということも実感。アイドルもアニメも今や日本を代表する文化であることは間違いないけれど、脈々と受け継がれてきた日本の美しさ。それをもっと私たち日本人が大切にしていかなければならないものなのではないかと気付かされた日でもありました。
Profile
■内田恭子さん 1976年生まれ。フジテレビのアナウンサーを経て、結婚を機にフリーランスに。現在は幅広いメディアで活躍する一方、上品かつ高感度なファッションも話題に。2児のママ。kikimindfulness主催、マインドフルネストレーナー。 モデル・文/内田恭子 編集/水澤薫