『海に眠るダイヤモンド』新井Pが明かす“伝説回”の詳細 涙腺崩壊スタッフが続出の撮影裏も
クライマックスに向けて涙腺が崩壊するスタッフが続出
――賢将が百合子にプロポーズするシーンもまた印象的でした。 新井:鉄平の告白と、賢将のプロポーズ。この差をどうつけるかというのは、結構考えたところでした。そこで監督の狙いで、賢将のプロポーズは日常の中でしようということに。リハーサルの段階では普通にいこうってなってたんですけど、最終的に賢将が抱きしめようとして「やめてよ、こんなところで」みたいな押し問答させる形にしようと。そんな賢将と百合子を見ながら、鉄平と朝子が「バンザイ、バンザーイ!」みたいにはしゃいでいたのは、おふたりのアドリブですね(笑)。たしか、あそこのシーンでも花ちゃんはポロッと泣いたんじゃないかな。 ――土屋さんのいろんな感情を噛み締めた表情にもグッと来ました。 新井:そうですね。私が土屋さんと初めて会ったのは『リミット』(2013年/テレビ東京系)っていうドラマだったんですけど。当時はまだ学生で、キャッキャッしながら撮ってたんですよね。それが、きっとプライベートでもお母さんになられて、なんというか感情豊かな表情になったと言いますか。今回、演じていただいた百合子はとても難しい役だったんですけど、すごくハマったなと思いました。塚原監督も「これまでに見たことのない表情が撮れてる」って言っていて、私もそう感じましたね。「大人になった」って言うとちょっと言葉が軽いですが、いろんな人生経験を積んだからこその渋みを感じる表情が出ているなって。もう、あのキャッキャしてた少女時代の太鳳ちゃんではないんだなっていう感じがしました。 ――物語は佳境に向かっていますが、新井さん的に想像以上になったシーンはありますか? 新井:今回の台本は、台詞がなくト書きだけで書かれているシーンもあって、言葉はなくても迫力のある映像でそれが感情豊かに撮られているなと感じています。特に、終盤にかけてみんなのチーム感も表情に出ていますし、距離の近さが見えるシーンも多くなっていますね。第8話では玲央が警察に駆け込むシーンがあってちょっとだけ前に進むんですけど、そこで表情が変わるんですよ。目に生気が宿ったなと。玲央が殻を破ったんだなっていう、「よかった」って思える顔をしていました。最終回に向けてカメラを回しながらスタッフがみんな思わず号泣してしまう場面がいくつもありました。なかにはセリフがひとつもないシーンも。切なさというか、寂しさというか。そういうものがにじみ出ている名場面が撮れていますので、じっくりと味わっていただきたいと思います。
佐藤結衣