【闘病】やっぱり“乳がん”…病気になり初めて実感した『命の終わり』
20代のころに良性のしこりを右胸にみつけ、定期検診にも通っていた片山枝美さん。仕事や日常生活の忙しさから2、3年検診に行かず、ある年の夏に自分で左胸に違和感を抱き、乳がんが発覚しました。「がんになったことで自分の人生を見つめ直し、自分らしく生きられるようになった」と語る片山さんの背景には、何があるのでしょうか? 発症の経緯や治療内容、そして病気を通して変化していった価値観などのお話を聞きました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年9月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
左胸を触り、直感で「乳がんだ」と感じた
編集部: 片山さんの病気が判明した経緯について教えてください。 片山さん: 40歳を過ぎたころから毎年乳がん検診を受けていましたが、がんが見つかる前の2、3年は仕事の忙しさにかこつけて、検診を受けていませんでした。「毎年問題なかったし、きっと大丈夫だろう」という変な自信と、仕事を休んで病院へ行くことが億劫になっていたんです。ところが、2019年夏のある入浴時に左胸を触ったとき、内側にある硬い何かに触れたのです。浴室の鏡で見ると、少し引きつれたようなしわができていて、直感で「あ、これはまずいかも」と思いました。 編集部: そのあと、どうされましたか? 片山さん: 実は母親が乳がんを患っていたこともあり、乳がんについての知識が多少なりともありました。そこで、すぐに母も通院している地元の病院に電話予約して、検査をしてもらいました。最初の診察の段階で、医師から「おそらく乳がんだろう」と言われました。それでもはっきり結果が出るまでの期間は不安で苦しく、精神的に一番辛かったですね。 編集部: 自覚症状などはあったのでしょうか? 片山さん: しこりに気づくまではまったくありませんでした。強いて言うなら、20代から右胸に良性のしこりのようなものがあり、当時医師からは「定期的に見るように」と言われていました。それもあって、毎年乳がん検診を受けていて、今回がんが見つからなかったら多分その後も検診を受けないで過ごしていた気がします。しかも、見つかったがんは指摘されていた右側ではなく左胸でしたから、驚きでした。 編集部: どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか? 片山さん: 病院での検査の結果、私のがんは乳がんの中でも割合の少ない「浸潤性小葉がん」でした。これは、5年以降に再発する可能性もあり、もう片側にもがんができるかもしれないと言われました。幸い発見が早かったので、しこりはそこまで大きくありませんでした。ただ、自分で見つけたしこりと別の場所にもがんができていたんです。いろいろ考慮して、左胸を全摘したほうがいいと言われました。 編集部: 術後はどのような治療計画になりましたか? 片山さん: 化学療法の可能性と、継続して10年はホルモン療法を続けたほうがいいと説明を受けました。