トランプ氏がカナダ首相を「州知事」と嘲弄 国境、貿易赤字問題の対応求めSNSで空中戦
【ワシントン=坂本一之】トランプ次期米大統領は10日、米国の国境問題や貿易赤字を巡り、カナダのトルドー首相を地位が低くなる「州知事」と自身の交流サイト(SNS)で嘲弄し、問題に対応するよう圧力をかけた。トルドー氏が9日にトランプ氏の対応要請に反発する考えを示したことを受け、SNSで空中戦を展開した形だ。 トランプ氏は11月25日、不法移民や薬物の流入阻止を目的にカナダとメキシコからの全ての輸入品に25%の関税を課すとSNSで表明。自身が大統領に就任する来年1月20日に実施するとし、カナダなどに対応を求めた。 トルドー氏は素早い動きを見せ、同月29日に米南部フロリダ州に赴き、トランプ氏と約3時間にわたる夕食会形式の会談に臨んだ。 FOXニュースなどによると、トランプ氏は会談で大量の薬物や不法移民がカナダから流入していることを問題視。米国の国境問題や貿易赤字にカナダが対応できないなら、米国の新たな「51番目の州」になるべきだと述べた。苦笑するトルドー氏に対し、知事よりも「首相」という肩書の方がよいとも語り掛け、対応を促したという。 カナダ側はトランプ氏の発言を冗談と受け止めたが、トランプ氏が得意とする「ディール(取引)」の一環であることは明らかだ。 トルドー氏は、ディールに対抗するように12月9日、25%の関税が課せられれば報復措置に打って出る考えを示した。 トランプ氏はこれに応戦する形で、フロリダ州での会談について「偉大なカナダ州のトルドー知事と夕食を共にし光栄だ」とSNSで揶揄(やゆ)した。さらに「近く知事に再び会い、関税と貿易の協議を継続することを楽しみにしている」と述べ、余裕の姿勢をアピールした。