<独自>金融庁出向裁判官にTOBの閲覧権限 購入履歴一致、立場悪用してインサイダーか
金融庁に出向中の男性裁判官によるインサイダー取引疑惑で、金融庁がまとめた公表前のTOB(株式公開買い付け)案件の一覧の閲覧権限が男性裁判官にあったことが22日、関係者への取材で分かった。閲覧権限は一部の職員に限られていた。株取引の履歴には一覧と一致する銘柄があり、証券取引等監視委員会は裁判官が立場を悪用し、一覧を基に株を取引していたとみて調査を進めているもようだ。 【図で解説】裁判官と東京証券取引所職員のインサイダー取引疑惑の構図 裁判官は30代で、4月に企業の情報開示の審査などを行う金融庁企業開示課に課長補佐として出向。直後から、公開前に知ったTOB情報に関連する企業の株を、複数回にわたり本人名義で売買していた疑いがある。 関係者によると、裁判官は、TOBの事前審査を担う財務局などに開示内容を指導する担当だった。同課は、財務局から相談を受けるなどしたTOB案件を一覧にまとめており、同課員約70人中、ごく一部が閲覧可能だったという。 この裁判官にも閲覧権限があり、一覧にされていた公表前のTOBに関連する銘柄を売買。業務中に株取引をしていた疑いもあるという。 監視委は9月、裁判官の関係先を金融商品取引法違反の疑いで強制調査。東京地検特捜部への刑事告発を視野に調べを進めている。インサイダー取引は、違反すれば5年以下の懲役または500万円以下の罰金、もしくはその両方に処される。