「春休みの宿題は『桃鉄』を10年以上プレイ」“教育版”も存在、全国7000校以上が導入するスーパー学校教材に
『ボンビー』はなし!?
日本全国には、長万部(おしゃまんべ)、十六島花(うっぷるいばな)、吹田(すいた)、学文路(かむろ)、豊見城(とみぐすく)などの難読地名が山ほどある。これに加え、各地の名物や特産品も一緒に学ぶことができるのだ。 「“教育版”は、ニンテンドースイッチで発売されたソフトをWEBブラウザで動作させるための制作などを経て、2023年初頭から提供を開始しています」(コナミの担当者、以下同) “教育版”と“通常版”の違いは? 「“教育版”には管理ツールが実装されていて、先生がプレイ時間、中断や再開などをコントロールすることができます。北海道から九州・沖縄までを7つのエリアに分類しており、授業のカリキュラムに合わせて一部地域を指定してプレイすることが可能です」 通常版ではプレイヤーの物件を勝手に売ってしまうなどの妨害をする憎き貧乏神『ボンビー』が登場する。これに悔し涙を流した人もいるのでは。 「子ども同士のトラブルに発展する可能性のある要素は排除しており、“教育版”に『貧乏神』は登場しません。アイテムを使って、誰かを指定して攻撃することもできないようになっています」
導入は7000校以上で
学校現場からの評判は? 「当初は、小学校の地理の授業での活用を想定していましたが、難読地名の読み書き教材として国語の授業でも使っていただいております。さらに、物件の収益率の計算をする数学の授業、金融教育の入口、修学旅行先の情報収集にも。さまざまな教科や用途で幅広く取り入れてくださって、先生方の創意工夫には感激しています。 “教育版”をきっかけに、不登校や保健室登校の生徒が授業に来るようになったというケースも聞いています。学習以外の面でポジティブな効果があることも、大変うれしく思います」 子どもとゲームの親和性は高い。楽しく学べるだけでなく、学校生活における人間関係の“潤滑油”にもなっていた。結果、導入する学校も増え続けている。 「導入校は全国で合計7000校以上となりました。このうち小学校はおよそ4000校で、これは全国の小学校のおよそ20%に相当します。自治体や教育委員会からの申込みは、75団体となっています」 公式ホームページによれば、学校機関への導入は無料。ただ、当初は受け入れられるのか不安もあった。 「ゲームを授業で使うことにお叱りの声をいただくことも覚悟していましたが、発表直後から、こちらの想定を超える大きさで、ポジティブな反響をいただけたことに驚きました」 私たちが遊んだゲームが、今や学校教材になっている。時代は変わり続けるのだ――。