「今夜、ユーキは大事な場面で決めてくれた」石川祐希“スター軍団”ペルージャでのリアルな序列は? 現地記者が見た“濃密な1カ月”の成果
イタリア王者ペルージャに移籍して迎える新シーズン。渇望していたタイトルを争えるトップクラブ入りを実現させた石川祐希(28歳)が、合流間もない頃に抱いていた考えとは? 世界トップレベルの練習風景やプレシーズンマッチでの変化を描くNumberWeb現地レポート。【全2回の後編/前編も公開中】 【現地写真】「ユーキ!ユーキ!」イタリア女子に囲まれる石川祐希…超かわいすぎる当時20歳の“細マッチョ”筋トレ写真も見る(全200枚超) バムッ! バムッ! 晩夏のアレーナ「パラ・バルトン」に、ボールのひしゃげる重い衝撃音が響く。 シーズン開幕を控えたペルージャは、9月初旬のポーランド遠征と中旬のイエージ杯、そしてシーズン最初の公式タイトルであるスーペルコッパ・イタリアーナに向け、急ピッチで調整を進めているところだった。 王者クラブの練習ではメニュー毎に時間が決められており、電光掲示板に残り時間が明滅している。選手たちは否応なしに集中せざるを得ない。 休憩中も黙々と給水し、クールダウンする。 ベンチにどかっと座るのは、昨季の4冠主力組である新主将シモーネ・ジャンネッリやMBロベルト・ルッソ、OHカミル・セメニウク、OPワシム・ベンターラ。イタリアスポーツ界の語彙でいうなら“セナトーレ(上院議員)”たちだ。石川含む残りのメンバーはネットを挟んで反対側に立ったまま、次のメニューに備えている。 ペルージャの先発OHにはポーランド代表セメニウクとウクライナ代表オレフ・プロトニツキの2枚看板がおり、これまで多数のタイトルを勝ち取ってきた彼らの実績や司令塔ジャンネッリとの熟成度から言っても、石川がポジションのヒエラルキーを切り崩すのは至難の業だ。 加えて、石川は昨季限りで退団した前主将のポーランド代表ウィルフレド・レオンの後釜として獲得されただけに、クラブや地元ファンの期待はいやが上にも高まる。 重圧は承知の上で、石川は「10年目にして初心に返る」という境地を口にした。 ペルージャの練習風景で気づくのは、極端なまでに笑顔がないことだ。決して“明るく楽しく”ではない。世界最強クラブから強く伝わってくるのは、仕事へのプロ意識だ。どこか和気藹々ムードのあるミラノや他のクラブとは明らかにそこが異なる。 彼らは不必要にギスギスもしない。ペルージャの選手たちにあるのは“俺たちはタイトルを獲るためにここにいる”という王者の強烈な矜持だ。 再開された6対6の紅白戦形式では、サブ組に入った石川のスパイクがブロックに捕まると「ユーキ! ピュウ・フォルテ(もっと強打)! ピュウ・フォルテ!」と監督の声が届く。 練習とはいえ、イタリア代表MBルッソのブロックの迫力が凄まじい。彼が最後の1ポイントを押し込んだ、“あの”パリ五輪準々決勝を思い出さずにはいられない。ペルージャのチーム愛称は“ブロック・デビルズ”なのだ。 石川は打たれ、打ち込まれる。だが、やられっぱなしではいない。 お返しとばかりにジャンプサーブを叩き込んだ。スピードガンにこの日最高速の114km/hが表示され、レギュラー組は“やるじゃねーか”の眼差しを返した。
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