【伊達公子】オリンピック方式の応援から脱却して、もっと個人が楽しめる空気感を作りましょう!<SMASH>
全米オープンが終了し、テニス界は徐々にアジアシリーズに入っていきます。日本の会場でトッププロの試合が見られる機会なので、ぜひ大会に足を運んでみてください。 【画像】ジャパンオープンテニス2023。西岡&ズベレフなどスター選手の厳選フォト!! 会場に行った時には、応援することも楽しんでほしいと思います。ここで力強く言いたいことは、オリンピック方式の応援から脱却しましょうということです。 日本の会場では、率先して声を出す人がいて、それにならうという感じがあります。オリンピックの延長のような、みんなで団結した応援です。 そういう応援は、オリンピックや今週末に行なわれるデビスカップ(男子国別対抗戦)のような日本代表の試合にはもちろん必要でしょう。しかし、ツアー大会は団体戦ではなく、個人戦。応援も見ている個人が好きなようなに、声を出したり立ち上がって拍手したり、ガッツポーズをしていいと思います。 ただ、日本人にとっては「好きなように、自由に」と言われると、何をしていいのかわからず難しいのかもしれません。現在は、テレビやネットでテニスの試合が簡単に見られるため、他国の人がどのようにテニス観戦しているのかも知ることができます。それを参考にしながら、「個」が楽しみながら応援するスタイルになってほしいと思います。 加えて、応援の声を出しづらいのは、会場が静まり返っている影響もあるでしょう。ポイント間はザワザワしていていいんです。声を出さない人も、友人と喋っていいですし、座り疲れた人は立ち上がってもいいんです。選手が次のポイントに入ろうとするタイミングだけを気をつけてポイントが始まったらプレーの邪魔にならないようにしましょう。 他の大会でも実施されていますが、上の方の席はポイント間に移動できたり、お酒を飲みながらの観戦も方法としてはありだと思います。日本ではアルコールをOKにすると、試合の進行が妨げられる行為が起きることもあるから禁止にするという考えになってしまいがちですが、見る楽しみ方までを奪ってしまうのはもったいない気がします。テニスが会場で見る楽しいスポーツという雰囲気をもっと感じられるためにも会場にいる1人1人の方が楽しみ方を強く出してほしいです。 現状の観戦方法から大きな改善が必要だと思います。子どもが会場でテニスを見て面白い、見て楽しいと思う空気感にしておかないと、テニス選手に憧れてくれません。子どもたちが観戦に来て、思い思いの応援ができて楽しかったと思える空気感を作りましょう。咳もできない、息が詰まるということも聞くこともあります。静かに見るという印象から、楽しく見るテニス観戦に変わっていくべき時です。 文●伊達公子 撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン