センバツ高校野球 健大高崎、先制実らず 初の初戦敗退、攻撃鳴り潜め /群馬
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)で健大高崎は大会第6日の24日、報徳学園(兵庫)と対戦し、2―7で敗れた。健大高崎の甲子園での初戦敗退は春夏を通じて初めて。健大高崎は初回に箱山遥人(2年)の左前適時打で1点を先制。その後は報徳学園の主戦・盛田智矢(3年)の前に打線がつながらず、持ち前の足を絡めた攻撃を発揮できなかった。だが、無失策の堅守もみせ、スタンドからはねぎらいの拍手が送られた。【西本龍太朗、森田采花】 健大高崎は一回、先頭の増渕晟聖(じょうせい)(3年)がチーム一の俊足を生かして二塁への内野安打で出塁。母玲江(あきえ)さんは、「最大限の力を出してほしい」と一塁側アルプス席から声援を送った。 続く主将の森田光希(同)が手堅く犠打を決めると、2死二塁で4番・箱山遥人が左前適時打を放った。箱山は「体勢を崩されてバットの先で打ったが、三塁手の守備位置を見て『抜ける』と思った」。前日に電話で「全力で頑張って」と伝えたという母薫さんは「思ったよりリラックスしているように見える」と話した。 だが、直後の二回、先発登板した小玉湧斗(3年)が3者連続で押し出しの四球を与え逆転を許した。甲子園で春夏3回の優勝を誇る伝統校を相手に、ベンチ入りした塚原蒼斗(同)の母幸子さんは「厳しい戦いだが、打線さえつながれば足を使って得点できる」と反撃を期待した。 4点を追う七回、7番・高山裕次郎(2年)の二塁打を足場に代打の団之原樹(いつき)(3年)の右犠飛で1点を返した。野球部マネジャーの広瀬海帆さん(2年)は「あきらめずに粘り強く戦ってほしい」とアルプス席から見守ったが及ばなかった。 報徳学園の強肩捕手、堀柊那(3年)の前に得意とする足を絡めた攻撃は鳴りを潜めた。森田は「そう簡単には走れないので甘い球はしっかり仕留めてつなぐ意識をもって臨んだが、攻めきれなかった」と肩を落とした。 記録員としてベンチ入りしたマネジャー、伊藤利花子さん(3年)は「甲子園に連れて来てくれた選手には、『ありがとう』と伝えたい。でも、もう一度、連れて来てほしい。そのために精いっぱいサポートする」と力強く話した。【西本龍太朗】 ◇市庁舎PVで応援 ○…高崎市役所1階ロビーでは、150インチの大型モニターを使って健大高崎の試合のパブリックビューイング(PV)が行われた。 藤岡市の会社員、新井俊司さん(49)と妻の美保さん(51)は、阪神甲子園球場で応援する予定だったが、雨による順延で日程が合わなくなってしまったという。新井さんは「娘が以前、健大高崎でチアリーダーをしており、それ以来の健大高崎野球のファン。せめてここで応援しようと思った」と話した。 ロビーにはメッセージボードも設置され、「ガンバレ健大高崎」「一打入魂」などと来庁者がメッセージを書き込んでいた。 ◇団長、声張り上げ ○…今大会から声出し応援が解禁となり、健大高崎の一塁側アルプス席では応援団長の小宮快さん(3年)のひときわ遠くまで通る野太い声が響き渡った。先輩の応援団長姿にあこがれ、自ら志願。昨秋から応援団長を担っている。二回以降、劣勢を強いられる苦しい試合展開となったが「これで負けたらしょうがないと思えるほど、できることは全てやってきた。あとは仲間を信じるしかない」とメガホンを握りしめ、声をからし続けていた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇強気の姿勢変えず 健大高崎・小玉湧斗投手(3年) 二回2死満塁から3者連続で押し出しの四球を与え、まさかの3失点。初回に1点を先制したチームに流れを呼び寄せることができなかったことを悔やんだ。 立ち上がりからボールが先行した。一回こそ3者凡退に仕留めたが、二回1死の場面で「打ち取った」と思った当たりが内野安打となり、調子が狂いだした。青柳博文監督は「持ち味の粘り強い投球を信じていたので継投はあまり考えていなかった」と明かした。 四回には連続適時長短打でさらに2点を失う。1番から9番まで切れ目なく振ってくる報徳学園の打線に「これが関西の野球か」と気持ちが焦った。それでも「(ストライクゾーンに)球を置きにいって直球を打たれるぐらいなら、四球でも良いから思い切り腕を振る」と、エースとして強気に攻める姿勢は変えなかった。 夏に向けての課題は明確になった。「大舞台でも感情のコントロールができるようになること」。再びこのマウンドに上がることを誓って聖地を後にした。【西本龍太朗】