全長25メートル「ダブル連結トラック」は実現するか?
国土交通省ではいま、1台で通常の大型トラック2台分の輸送を可能にする「ダブル連結トラック」の導入に向けて検討が進む。車両の長さの規制を現状の最大21メートルから25メートルまで緩和するというものだ。背景にはトラック運転手の人材不足があるが、ネット上では安全性を心配する声も出ている。学校のプールのような長さの連結トラックは、本当に実現するのか? 「クルマのエンジン」前後を逆にしたらあらゆる性能が向上する?
●高齢化で運転手不足が進む
ダブル連結トラックは、トラックの荷台の後ろに、さらに1両分の荷台を接続する構造。25メートルという車両の長さが想像しにくい場合は、全長が大体10メートル前後の路線バスが2台連結している様を思い浮かべれば、イメージしやすいかもしれない。
現行の国の規定では、トレーラーなどの連結車の全長の許可基準は最大21メートルまで。それを25メートルまで緩和する。国交省では、以前から海外事例も踏まえて規制緩和を検討していたが、4月にダブル連結トラックを打ち出した。 背景には、トラック運転手の人材不足がある。総務省の資料によると、トラック業界では30代未満の若手運転手が減りつつある一方、50代以上の運転手が増加傾向にあり、このまま高齢化が進展すれば、将来、運転手不足にがさらに深刻化する可能性がある。また、鉄道貨物協会では、トラック運転手不足が2010年度の約2万9000人から2020年度には約10万6000人に拡大。2030年度でも約8万6000人が不足すると予測している。 車両の長さが21メートルから25メートルまで緩和された場合、全長が約12メートルの10トントラックなら、1両追加して2台分の荷(最大20トン)を1台の車両で運べるようになり、輸送の効率化や省人化が図れると国交省は説明する。 一方、この構想が発表されて以降、ネット上では「比重の軽い貨物を運ぶ会社には朗報かも」といった賛意を示す書き込みがある一方、「事故が増えそう」、「後方誤認事故が起きる」などと安全性を危惧する意見もあった。