全長25メートル「ダブル連結トラック」は実現するか?
●安全性は大丈夫なのか?
トラックの業界団体である全日本トラック協会の齋藤晃広報室長は、協会内部で詳細な話はしていないと断りつつも、「人材不足への対応という観点で見ると、本当に安全性の面で問題がないのであれば、良い施策だと思う」と説明。「われわれは輸送の安全確保を第一に掲げており、いくら人材不足への対応とはえ、安全性が担保できないのであれば、良いとは言い難いと考えている」とも語り、安全性が何よりも優先するとの考えを強調した。 物流分野の研究者である流通経済大の矢野裕児教授は「日本の道路は狭くてアップダウンが多く、ダブル連結トラックが走れる場は相当限られるはず。安全面を考えると、道路の幅の広さなど走行に適した条件がよほど整わない限り、一般道の走行は無理でしょう。高速道路などの自動車専用道路なら問題ないかもしれませんが、いずれにせよ、ダブル連結トラックの走行を認める道路と認めない道路をどう線引きするかが焦点になります」と分析する。
仮に導入された場合、走行が認められた道路ではダブル連結トラックで走行し、認められていない道路では2つの荷台の連結を切り離してそれぞれ別のトラックで輸送する方法が採用されると予想。 また運転手には大型免許に加え、けん引免許も必要となる。このため、ネット上では「けん引免許が必要なのでドライバーの人選がさらに難しくなる」などとして、人材不足の改善についての効果を疑問視する声も出ているが、矢野教授は「導入が実現すれば一度に大量の荷が輸送できるので、乗務員不足対策としては有効」との見方を示す。 国交省は今夏以降、新東名高速道路を中心に、実際に走行して安全性や省人化の効果などを検証する実験を行う。パブリックコメントや実験参加者を募集し、中部地方整備局やNEXCO中日本などでつくる実験協議会を立ち上げて実験を開始。2017年度末をめどに本格導入に向けた条件などを検討する予定だ。 (取材・文:具志堅浩二)