その名も「へこきむしナイス」異常発生の厄介者「カメムシ」捕獲器を飛び回る姿から閃き…鳥取の企業が開発
山陰中央テレビ
2024年に柿をはじめとする果樹への被害が目立ったの原因が「カメムシ」です。全国各地で大量発生し、鳥取県内でも特産の梨などの収量が減るなどの影響がありました。刺激を与えると強烈な匂いを出すため、駆除に頭を悩ませているという方も多いのではないでしょうか。その対策グッズを鳥取市の会社が開発、11月26日から販売を始めます。発売を前に開発者を取材しました。 鳥取県八頭町、全国でもここ県東部の因幡地方でしか栽培されていないという、特産の花御所柿(はなごしょがき)が収獲の最盛期を迎えています。 花御所柿を育てる会・細田日出男会長: 今年みたいにカメムシが異常発生したことは知りません。だから、今年は柿大丈夫かなと思いながらね 2024年、全国で大量発生したカメムシ。鳥取県内では7月に14年ぶりに「警報」が出され、農作物への対策が呼びかけられました。 花御所柿を育てる会・細田日出男会長: こういうのがカメムシに噛まれた跡ですね。 生産団体の会長を務める細田さんの花御所柿の畑でもカメムシに果汁を吸われ、充分に成熟しなかったとみられる柿がありました。JAによると、今シーズンの花御所柿の出荷量はカメムシの被害の影響で、昨シーズンに比べ35%減少する見込みです。鳥取県内では、富有柿など他の品種の柿や二十世紀など特産の梨もカメムシの被害を受け、収量の減少が見込まれるということです。 農家にとって厄介者のカメムシ、厄介なのは家庭でも同じです。 街の人: どこから入ってくるか知らないけど、入ってきて1日に20匹も30匹も取りましたよ。 街の人: 多いから普通のテープで取る。触らないように。 刺激を与えると強烈な匂い…。どうやって「穏便に」カメムシを駆除するか…。その答えになる商品を、鳥取市用瀬町の林業会社「WEST」が開発しました。その名も「へこきむしナイス」。折りたたまれた厚紙を開いて組み立てると、どこかで見たような形に…。これを空中に吊るしてカメムシを捕獲します。 WEST・大野憲一社長: ゴキブリ捕獲器を空中にしたらいいんじゃないかと、ずっと思っていて…。 捕獲器を吊るすのは照明の近く。カメムシが光に集まる習性を利用し、照明にぶつかり、落ちてきたところを粘着材でとらえます。 株式会社WEST・大野憲一社長: 状況がわかってないんじゃないかな。トンと足をついただけでは、においを出さないことが多い。 臭いを出させないようにカメムシを極力刺激せず…それでいて逃がさない。試行錯誤を重ねて、絶妙な粘着力を実現しました。また殺虫成分や誘引剤を使っていないため、子どもやペットがいるところでも安全に使えるということです。 ところで大野さんの会社の本業は林業。カメムシ対策グッズの開発に取り組んだ理由は…。 WEST・大野憲一社長: うちが実際そうだったから。(カメムシが出ると)嫁さんがギャーギャー言うし、ビールを飲む時は、蓋するために紙を置いて、ガムテープで取って。 自宅の中を飛び回るカメムシをみて、捕獲器の仕組みがひらめいたそうです。2024年1月から開発に取りかかり、約10か月をかけ、商品化にこぎ着けました。そんな大野さんの商品へのこだわりはこんなところにも。 WEST・大野憲一社長: 大変だよこれを書くの。しんどい思いをして1つ書くのに、3日も4日もかかって、腱鞘炎になるほど。 パッケージに描かれたシュールなキャラクターも自らデザイン。インパクトのあるパッケージで、商品と会社をアピールします。 WEST・大野憲一社長: ヒーローということではないが、日用品みたいな形になって、生活に必要なものになっていくんじゃないかなと思っている。 アイデアいっぱいの「へこきむしナイス」は1個968円で、11月26日から鳥取県内のホームセンターやこの会社のウェブショップなどで販売を開始。薬品を使わない特徴を生かし、今後は農家向けの捕獲器の開発も検討しているということです。
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