不適切にもほどがあり過ぎた昭和バイク少年達の日常【昭和エモ伝 Vol.1】
友人のナナハン同士で全開勝負
土曜の夜は前記したナナハン達と、人気の無いスポットで全開勝負が常だった。車体が軽い750SSの出足が速く、2ストの白煙を巻き上げて飛び出して行く。そこに、同じ2ストの750GTが地面に白煙を低くたなびかせて猛追。出足で遅れる4スト勢が2ストの煙をかき分けて続き、2気筒のTX750の後に4気筒車の2台が並ぶ。ただ、そこからCB750とZ2の4気筒勢が伸びて行き、最終的に抜き去って行くという展開が基本パターンだった。私のZには余力が感じられたけど、CBとほぼ同レベルかな。そもそも、この時はノーヘルだったので、みんな涙がちょちょ切れて終わる。結局の所、バイクは性能というよりも乗り手の根性次第の部分が大きいんだよね。まあ、いま振り返ると本当に恐ろしいばかり。よく生き残れたもんだ……。 高校生が当時の国内最大排気量となるナナハンを当たり前のように乗り回し、ノーヘルでも法的になんのおとがめ無し。いまの感覚からすると、’70年代初頭の日本はまさに「不適切にもほどがある時代」となるんだけど、底抜けな自由と熱気に満ち溢れてておりました。 つづく。 ──この写真は本誌’74年12月号で行ったナナハン4車ライバル比較試乗時の一コマ。編集部の前にホンダCB750、スズキGT750、ヤマハTX750、カワサキ750RSの4台を並べてなにやら確認作業中。まさにこの頃、私は高校生。こんな感じで友達とワイワイやっておりました。懐かしいね~。 【牧田哲朗】1957年生まれ。大学生時代の1977年からヤングマシンに携わっているこの道47年の超ベテランライター。メカニズムやメンテナンスの造詣に深く、本誌では「おまかせ牧田のバイクメンテナンス」を長期連載してお馴染みとなった。 ●文:ヤングマシン編集部(牧田哲朗) ●写真:牧田哲朗/YM Archives ※本記事の原稿は、’18年10月号のヤングマシン本誌に掲載された「牧田哲朗の名車時効伝Vol.1/我が青春の750RS」に加筆修正を加えたものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。