FIREを目指す人は必見、幸せなリタイア生活を送るための「4原則」
50~60代での引退を夢見てコツコツ資金を積み立ててきた人たちと、FIREを計画している人たちとの間には、一見あまり共通点がないように思われる。FIREとは「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」の略で、より柔軟な働き方の浸透や、ソーシャルメディアを通じてFIREのライフスタイルが認知されたことで、近年支持を集めている。 FIREの定義はさまざまだが、FIREを信奉する個人には共通した重要な属性がいくつかある。まず、支出を意識的にコントロールし、現役時代に平均以上の貯蓄をする傾向がある。また、金をかけずに有意義な活動を楽しむ方法を見つけられる場合が多い。FIREのライフスタイルに惹かれる人は概して「怠け者」という間違ったイメージとはほど遠く、与えられた時間を最大限に活用したいと願う人々である。 実際、FIREのコミュニティーに属する人々の多くは、リタイアを宣言した後も何らかの仕事を続けている。そのため、他人からは「ふーん、引退したと言っているのにまだ働いているんだ」などと思われるかもしれないが、これはFIREの自立の基本である。彼らは働く必要のない境遇に到達しようと努力しているだけであり、リタイア後の有給労働は充実した生活を送るための選択肢の1つなのだ。完全リタイアではなくとも、FIREの人たちは従来のフルタイムのキャリアから、時間の自由と独立性を最大限に生かすキャリアに移行していることが多い。
幸せなリタイア生活を送るための4つの原則
これが一体、自分と何の関係があるのかと不思議に思うかもしれない。リタイアメント・プランナーである著者はFIREを探求する中で、40歳で引退するつもりであろうと75歳まで働くつもりであろうと、誰もが考慮すべき4つの重要な教訓を学んだ。 1. 情熱や興味を優先する 趣味や健康、人間関係を追求する時間はリタイア後に確保すればよいと考え、個人の生活を後回しにしている人は多い。著者の母もそうだった。シングルマザーだったためキャリアが中心になり、人生を楽しむことができなかったのだ。残念なことに、彼女はガンを患い48歳でこの世を去った。 FIREの考え方の基本的な強みは、好きなことの探求を老後まで待たない点だ。まだ従来型のフルタイム勤務をしている人が、仕事以外の活動をする時間を作るためには、どんな工夫ができるだろうか? 2. コミュニティーを築く FIREをする人は、これまでの交友関係に代わる人脈を探し、意図的にコミュニティーを形成しなければならないことを理解している。これは退職者にとって極めて重要だ。仕事生活が終わりに近づくにつれ、共通の関心に基づく新たな絆を築くために何ができるかを考えよう。世界保健機関(WHO)によれば、孤独が健康に及ぼす影響は1日15本の喫煙に匹敵する。 3. 貯蓄は「目的」ではなく「手段」だと認識する FIREは、貯蓄と支出をより深いレベルで分析することを奨励する。お金は目的ではなく手段であり、退職貯蓄の唯一の目的は素晴らしい人生を送ることである。この視点は私たち全員に恩恵をもたらす。働きながら日常生活を送っていると、忙しさにかまけて家計を整えることから目をそらしてしまいがちだ。 確定拠出年金制度を活用した積立や自動積立投資を設定し、残高が任意の基準に達するのを待ちながら、コツコツ貯蓄をするのは魅力的だ。また、専門家と呼ばれる人々はしばしば、経済的な不安を抱えずに引退するために必要な金額を口にする。しかし、その議論には「貯めた資金を何に使うのか」という視点が欠けている。理想的な貯蓄額は約2億円なのかもしれないし、もっと少ないかもしれない。つまり、計画を立ててみなければわからないということだ。 4. 自分の価値観に合った人生プランを作る FIREをする人は、リタイア後のビジョンを描くことから始める。このプロセスにおける重要なステップは、現在だけでなく、リタイア後の生活についても、幸せになるための支出を計画することだ。リタイア後のビジョンを描き、計画を作成することは、やりがいのある有意義な次の一歩を踏み出すために大いに役立つ。でなければ、思い切って退職するのが怖くなったり、仕事を離れたとしても目的もなく退屈な日々を送るだけになったりする。 45歳の若さで引退するには、もう手遅れかもしれない。だが、それでもいいのだ。FIREの考え方を日々の生活に取り入れることで、人生を豊かにし、揺るぎない引退への道を歩むことができるだろう。
Roger Whitney