イラストレーター・神山奈緒子さん(後編)│低山トラベラー、偏愛ハイカーに会いに行く#25
今回の偏愛さん
山梨県甲府市出身&在住。2017 年にイラストレーターとして活動を開始。山で出会った植物や動物からインスピレーションを得て、そのエッセンスを作品に。イラストは企業広告や飲食店の壁画、ワインやビールのラベル、グラスデザインなどキャンバスから飛び出していっている。
山梨といえば「無尽」ワイン会での出会いが、その後の人生に大きな影響を与える
だれかがその活動を見ていて、チャンスを運んできてくれる。運がいい人というのは、その“だれか”とのご縁に恵まれている人のことだと、僕は考えている。キャリアはないといったものの、彼女には絵を描く力があり、そしてそんな“だれか”との出会いがあった。 そのキーパーソンのひとりが、山の師匠ことエイコさん。コロナ禍においても、互いに支え合う集い「無尽」の存在が心強かったという山梨県において、神山さんの地元で催されたワインの集いで出会った。その出会いをきっかけに登山をはじめて、まだわずか4年足らず。そんなそんな師匠に導かれて、山梨百名山はすでに95座を踏破したそ う! のめり込むと熱中する性格なのか、絵も山も、こなした量が質へと変化していくように、彼女の実力も育まれていったのだろう。キャリアはなくても、好きが高じて熱中したときのパワー、熱狂が生み出すエネルギーは、本当に尊いと思うのだ。 この原稿の締め切り直前の5月下旬、僕は本沢温泉へとテント泊に出かけていた。縁とは不思議なもので、そこで神山さんと師匠のエイコさん、山仲間のユミさん、ミワさんに偶然にも出会うことになる。インタビューで聞いていた“山の師匠”はやや厳しめの印象だったけれど、実際のところワインを片手に料理を作りまくる、豪快でチャーミングな人だった。なるほど、この師匠にこの弟子あり、だな。 そういえば、山梨百名山は、2024年のうちに100座を達成できるように計画しているとのことだった。その記念すべき瞬間には、僕もぜひ立ち会いたいと考えている。 <低山トラベラー、山旅文筆家大内征(おおうち・せい)> 歴史や文化をたどって日本各地の低山を歩き、ローカルハイクの魅力を探究。NHKラジオ深夜便、LuckyFM茨城放送に出演中。著書に『低山トラベル』など。ライフワークは熊野古道。 Photo&Text/S。Ouchi 大内 征
ランドネ編集部